ビアナ公

ビアナ公（スペイン語：Príncipe de Viana）は、スペイン王国の王位継承予定者（推定相続人）が用いる称号の一つです。現在、アストゥリアス女公レオノール王女が保持しています。

歴史的背景

元々はナバラ王国の王位継承予定者の称号でした。ナバラ王カルロス3世が、はじめ自らの男子に（いずれも夭逝）、次いで長女ブランカ（後の女王）とアラゴン王子フアン（後のアラゴン王フアン2世）との間に生まれたカルロスに授けました。この称号は、カルロスの妹である女王レオノールとフォワ伯ガストン4世の子ガストンも用いました。ただし、いずれもナバラ王位を継承することはありませんでした。

称号の創設と使用は、西ヨーロッパ諸国の流行を反映し、王子の私領の名にちなんでいました。スペイン王国成立以前、王太子の持つ称号として比較しうるのは、カスティーリャのアストゥリアス公、アラゴン＝カタルーニャのジローナ公でした。似たような称号として、イギリス（イングランド）のプリンス・オブ・ウェールズ、フランスのドーファンがあります。

スペイン王国成立後の変遷

15世紀のイサベル1世とフェルナンド2世の結婚によるスペイン王国成立、16世紀のフェルナンド2世によるナバラ王国征服といった歴史的事件のため、称号の重要性は失われました。ナバラ王国がフランス王国とスペイン王国の間で分割されたことがさらに追い討ちをかけました。

現在のビアナ公

現在、ビアナ公は単なる称号にすぎず、付属して領地が与えられるものではありません。むしろ、統合されたスペイン王家の中でかつてのナバラ王国が歴史的に継続する象徴に他なりません。レオノール王女がこの称号を持つことは、スペインの歴史と多様性を体現する意味合いがあると言えるでしょう。

この称号は、単なる形式的なものではなく、スペインの歴史と文化を深く理解するための鍵となります。ビアナ公の称号を通して、スペインの複雑な歴史と、それぞれの地域が持つ独自性を再認識することができます。

関連項目

アストゥリアス公
プリンス

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