ビスカヤ橋

ビスカヤ橋（Puente de Vizcaya）は、スペインのビスケー湾に面した港湾都市ビルバオのネルビオン川河口に架かる、世界最古の運搬橋です。1893年に建築家アルベルト・パラシオによって設計・建設されました。彼はギュスターヴ・エッフェルの弟子の一人でした。地元では「吊り橋」「運搬橋」または、左岸の自治体名から「ポルトゥガレテ橋」とも呼ばれています。

歴史的背景と建設

ビスカヤ橋は、海上交通を妨げず、かつ長い傾斜路を必要としない解決策として、運搬橋という形式が採用されました。吊り下げられたゴンドラで人や車を運ぶこの橋は、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなどの地域で運搬橋のモデルとなりました。2011年時点で、ヨーロッパに現存し稼働中の歴史的運搬橋は、フランスのロシュフォール＝マルトルの運搬橋（1900年）、イギリスのニューポート運搬橋（1906年）、ドイツのオステン運搬橋（1909年）と、このビスカヤ橋の4つのみです。南アメリカではアルゼンチンのリアチュエーロ運搬橋（1914年）が唯一の例です。スペイン内戦時には上部構造が爆破され、一時通行不能となりましたが、それ以外は現在も現役で稼働しています。

構造と運用

橋の全長は164m、水面からの高さは45mです。ゴンドラは164mの距離を約2分で渡ります。このゴンドラは自動車6台と約300人の乗客を同時に運ぶことができ、24時間営業で、約8分間隔で運行されています。運賃はビルバオ都市圏の交通システムと統合されており、バスや地下鉄と同じクレディトランス交通カードが使用可能です。

観光とアクティビティ

橋の上部構造には観光用の歩道が設けられており、高さ50mから港や湾の美しい景色を眺めながら歩いて渡ることができます。ビスカヤ橋周辺では、ジャズ、フォーク、合唱、ダンス、水彩画などの国際的なイベントが開催されることもあります。

世界遺産

ビスカヤ橋は、2006年7月13日にユネスコの世界遺産に登録されました（ID1217）。軽量鉄ケーブルの使用が革新的であり、産業革命期の顕著な建築学上の鉄構造物とみなされました。ベルギーのサントル運河のボートリフトなどとともに、近現代の技術進歩を象徴する世界遺産として評価されています。

世界遺産登録基準

ビスカヤ橋は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。

その他

この橋は、2016年10月8日にNHKの「ピタゴラスイッチ」のコーナー「そこで橋は考えた」でも紹介されました。

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