ビッグ (映画)

『ビッグ』：少年が大人になった奇跡の物語

1988年公開のアメリカ映画『ビッグ』（原題：Big）は、ペニー・マーシャル監督、トム・ハンクス主演による心温まるファンタジーコメディです。トム・ハンクスはこの作品でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しており、彼の代表作の一つとして知られています。

夢を叶えるレトロゲーム機と、一変する運命

物語の中心人物は、13歳の少年ジョッシュです。彼は、親友のビリーと遊園地を訪れますが、身長制限のため、乗りたかったジェットコースターに乗ることができません。落胆するジョッシュは、遊園地で見つけたレトロなコインゲーム機「ゾルダー」で「大きくなりたい」と願います。信じられないことに、電源が入っていないはずの「ゾルダー」が作動し、翌朝、ジョッシュは大人になっていました。

大人としての生活と、葛藤

突然大人になったジョッシュは、家族に不審者として扱われ家を追い出されます。親友のビリーと合流し、ニューヨークで「ゾルダー」を探す旅に出ますが、なかなか見つかりません。やむなく、経歴を偽りおもちゃ会社に就職し、大人として生活を始めます。

おもちゃ会社では、彼の子供らしい発想が社長の目に留まり、商品開発アドバイザーに抜擢されます。そこで出会った女性社員のスーザンと恋に落ち、大人としての生活は安定していきます。しかし、同時に親友との距離は離れていきます。

選択の瞬間と、元の姿に戻る奇跡

時が経ち、ジョッシュは、自分の行動によって変化した家族や友人たちの様子を見て、葛藤を抱えます。そしてついに「ゾルダー」を発見し、「大人として生きる」か「子供に戻る」かの選択を迫られます。

苦悩の末、ジョッシュは子供に戻ることを決意し、「ゾルダー」を稼働させます。全てを理解したスーザンは、ジョッシュを実家に送り届けます。そして、スーザンの車から降りた瞬間、ジョッシュは13歳の少年の姿に戻ったのです。家族の温かい歓迎を受け、ジョッシュは再び親友のビリーと学校生活を送ることになります。

魅力的な登場人物たち

本作は、ジョッシュだけでなく、個性豊かな登場人物たちが物語を彩っています。仕事に厳しくも子供のような感性を持つジョッシュを理解し、彼を支えるスーザン、ジョッシュを妬む同僚のポール、そしてジョッシュの唯一無二の親友であるビリーなど、それぞれのキャラクターが物語に深みを与えています。

多様な展開：ミュージカル、ドラマ、そして日本語吹き替え版

『ビッグ』は映画にとどまらず、1996年にはブロードウェイでミュージカルとして上演され、日本では唐沢寿明さん主演で上演されるなど、日本でも大きな人気を博しました。また、2012年には韓国でテレビドラマとしてリメイクされるなど、世界中で愛される作品となっています。日本のテレビ放送では、テレビ東京版、ソフト版、スターチャンネル版など、複数の日本語吹き替え版が存在し、それぞれ異なる魅力があります。小説版も存在し、様々な形でこの物語を楽しむことができます。

普遍的なテーマと感動

『ビッグ』は、成長、友情、愛といった普遍的なテーマを描いた作品であり、世代を超えて多くの人々の心を掴んでいます。少年が大人になるというファンタジー要素と、現実的な葛藤が巧みに織り交ぜられ、観る者に感動と余韻を与えてくれる、忘れられない名作です。

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