ビッグ・パレード

『ビッグ・パレード』の概要

『ビッグ・パレード』（原題: The Big Parade）は、1925年に公開されたアメリカのサイレント映画で、戦争をテーマにした作品です。監督はキング・ヴィダーであり、彼にとっての重要な転機となる作品でもありました。初めて大作を手がけたことで、彼は映画界における大監督としての地位を確立しました。本作は、第一次世界大戦を背景にしたドラマで、有名な映画として評価されています。

歴史的背景

『ビッグ・パレード』は、アメリカ議会図書館により歴史的価値が認められ、1992年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。この映画は、戦争と人間の感情をリアルに描写しており、戦争映画の先駆けともなりました。以降の多くの戦争映画に影響を与え、その影響力は今なお続いています。

ストーリーの概要

物語は、1917年アメリカの裕福な家庭に育つジェームズ「ジム」アッパーソンの視点で展開します。彼は怠け者で、父親からの期待に応えられないでいますが、婚約者のジャスティンの存在がさらに彼の負担となります。ある日、アメリカが第一次世界大戦に参戦することになり、ジムは父親によって入隊を迫られます。

入隊したジムは、訓練期間中に南部の建設作業員スリムやブルと親しくなり、共にフランスに派遣されます。彼らの宿舎はシャンピヨン村の農場で、そこで彼らは農家の娘メリザンドに出会います。彼女は最初、彼らの誘いを拒否しますが、徐々にジムに心を開いていきます。お互いに言葉が通じない中でも、二人は愛し合うようになりますが、ジムが故郷の婚約者からの手紙を受け取ることにより、二人の関係は試練に直面します。

戦争の描写

映画が進行するにつれ、ジムは戦争の厳しさを身をもって体験します。彼の部隊は敵の攻撃にさらされ、多くの仲間が命を落としていく中で、ジムは果敢に戦闘に参加します。この戦争のリアリズムは、当時の視聴者に大きな衝撃を与え、戦争のむごさを強調する重要な要素として評価されています。

最終的に、ジムは自身も負傷し、戦争の影響で帰国を果たします。しかし帰国後、彼の家族にはすでに変化が起こっており、母親が婚約者のジャスティンと親密になっていることに驚きます。傷を負ったジムは、戦争の影響と自らの喪失感と向き合うことになります。彼は心の安らぎを求め、再びメリザンドへの思いを胸に、彼女を探しに向かいます。

影響力

『ビッグ・パレード』の成功は、戦争映画のジャンルにおける重要な一歩を確立しました。この映画のリアリスティックな描写は、後の映画制作に大いに影響を与え、特に1930年の『西部戦線異状なし』など、他の名作に受け継がれています。アメリカ映画における戦争描写のスタイルに変革をもたらし、観客に戦争の現実を真正面から見つめさせる作品の一つとして今も記憶されています。

もう一度検索