ビデオスルー

ビデオスルーとは

ビデオスルー（Video through）とは、映画やテレビ作品が劇場公開やテレビ放送を経ることなく、直接にパッケージ販売される映像作品を指す業界用語のことです。これに対し、売上を上げるためにDVDなどでのリリースを選択される場合、特に「DVDスルー」とも呼ばれることがあります。これらの用語は日本で作られたものであり、英語では「Direct-to-video」や「straight-to-video」など異なる呼称が存在します。

ビデオスルーの背景

この形式の映像作品は、主に劇場公開を目的に制作されたにもかかわらず、商業的な見込みが立たないと判断された場合に用いられます。日本市場においては、特に製作国での興行収入が期待できない作品や、日本市場に適さないと見なされた映画がビデオスルーにされることが多いです。たとえば、アカデミー賞やゴールデングローブ賞など、海外で評価された優れた作品でも、興行的なリスクを避けるために直接販売に回されることがあります。

劇場公開の実績

ビデオスルー作品でも、時には観客に知名度や信頼を与えるために、少数の映画館での短期間の上映が行われることがあります。こうした上映は「単館上映」と呼ばれ、劇場公開が行われた関係から、パッケージにも「劇場公開作品」として記載されます。これはグレーゾーンとも言われていますが、虚偽の記載ではなく、そのため問題とされないことが多いです。

新たな形態の出現

2020年代初頭の新型コロナウイルスパンデミックでは、特に大手映画スタジオが劇場公開を中止し、代わりに自社の動画配信サービスでの配信に切り替える現象が見られました。これにより、これまでのビデオスルーの概念が変わりつつあり、新しい形態のオリジナルビデオが増加しています。

オリジナルビデオとの違い

オリジナルビデオとは、最初から劇場公開を意図していない映像作品を指します。そのため、ビデオスルー作品は企画段階での評価により、その後の道のりが大きく異なるのです。特に、バラエティ番組やアニメ作品も、しばしば未放送のエピソードがビデオ化されることもあります。例えば、東日本大震災の影響による放送中止からのビデオスルー化が例として挙げられます。

代表的なビデオスルー作品

ビデオスルーとして知られる作品は多岐にわたります。中には『ハドソン河のモスコー』や『ラブ・フィールド』、さらには『ヒックとドラゴン2』や『ティーン・タイタンズ・ゴー! トゥ・ザ・ムービーズ』なども含まれています。これらの作品は、劇場未公開ながらも特定のファン層に強い支持を受けています。

総括

ビデオスルーは、特定の市場要因に基づき、劇場上映を行わずに商品として販売される映像作品を指します。日本やアメリカに限らず、制作国の商業的・文化的要素に影響されるため、様々な事情が絡む複雑な分野となっています。今後も新しい配信形態が生まれる中で、ビデオスルー作品がどのように進化していくのか注目されます。

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