ビニールハウス

ビニールハウスとプラスチックハウスの概要

ビニールハウス、またはプラスチックハウスは、作物を栽培するために設計された農業用の施設です。その外壁は合成樹脂のフィルムで覆われており、主に木材や鋼材が躯体として使われます。一般的に「ビニールハウス」と呼ばれる場合、多くは農業用ポリ塩化ビニルフィルム（農ビ）を材料として使用していますが、これ以外にも様々な素材が利用されており、こうした点から「プラスチックハウス」という名称も広まっています。

ビニールハウスの構造

ビニールハウスの大部分は鋼管で構成されたものが多く、そのため「パイプハウス」とも呼ばれています。一般的な設計では、フィルムで覆われた全体構造のものや、雨水から作物を守るために上面だけを覆う「雨よけ栽培」のスタイルもあります。特に雨の日でも作業が行いやすいことや保温性能が向上する点が、大型のビニールハウスの大きなメリットです。

ビニールハウスの歴史

ビニールを使用した栽培法の始まりは昭和26年頃とされ、昭和30年（1955年）に実用化されました。当初は小型のトンネル栽培が主流で、徐々に大型のビニールハウスへと発展していきました。これにより、農業の生産性が向上しましたが、近年では農業従事者の高齢化や後継者不足、そして農作物の価格低迷により、ビニールハウスの設置面積が減少傾向にあるのも事実です。

プラスチックハウスの多様性

造られるプラスチックハウスは多種多様で、設置面積が増加を続けたのは昭和40年代からのことで、1999年には約5万1千ヘクタールに達しましたが、近年ではこの数値も約4万1千ヘクタールとされています。日本国内では、全設置の95%以上がビニールハウスであり、さまざまな種類のフィルムや構造を利用したバリエーションが存在します。特に、ポリオレフィンフィルム（農PO）や硬質フィルムが新たな選択肢として増えています。

構造材料の種類

プラスチックハウスは構造材料でも分類されます。主に「鉄骨ハウス」（約22%）と「地中押し込み式パイプハウス」（約78%）に分けられます。鉄骨ハウスでは、鋼を使った補強により耐久性が向上しますが、コストが高くなるため、利用されることは限られています。一方、パイプハウスは簡易な中で安価に設置できるため、広く普及しています。

フィルムの革新

フィルムの素材も進化しており、ポリ塩化ビニルの他に、農業用ポリオレフィンフィルムやフッ素樹脂のフィルムなども使用されています。これらは、耐候性や保温性が向上しており、さらに湿度を抑制する機能などが追加されています。使用済みのフィルムは適切に処理され、リサイクルが進められています。

環境調整機能

ビニールハウス内では、農作物の生育に適した温度を保つために様々な補助設備が重要です。暖房設備や換気システム、さらに植物の成長に不可欠な二酸化炭素の供給も行います。農作物への水分供給は、自動灌水設備で管理されます。

用途の多様性

ビニールハウスは作物の育苗や栽培に加え、作業小屋や格納庫、さらに畜舎としても用いられます。透明でないフィルムや異なる材料で被覆することもできるため、幅広い用途に応じた対応が可能です。また、簡易な構造であるため、税制上も特別な取り扱いを受けつつ利用されることがあります。

ビニールハウスおよびプラスチックハウスは、日本の農業において欠かせない存在であり、今後もより効率的な技術や新素材が求められることでしょう。

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