ビビアン・マグラス

ビビアン・マグラス

ビビアン・マグラス（Vivian McGrath, 1916年2月17日 - 1978年4月9日）は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州マジー出身の名テニス選手です。彼は1930年代を代表する選手の一人であり、1937年の全豪選手権男子シングルスでの優勝が特に有名です。また、彼は全仏選手権でも男子ダブルスで3年連続して準優勝を果たしたことから、その実力は広く知られていました。

マグラスは「ビブ・マグラス」という愛称でも親しまれ、テニスの歴史に名を刻む存在となりました。彼のフルネームはビビアン・アーゼルム・ビード・マグラスで、右利きの選手として知られています。彼のプレースタイルの中でも特に注目されたのは、両手打ちバックハンド・ストロークの技術を世界に紹介したことです。

幼少期とテニスキャリアの始まり

若い頃から「テニスの天才」としてその名を知られていたマグラスは、16歳で全豪選手権のジュニア男子シングルスに優勝します。さらに、本戦ではベスト8に進出し、準々決勝で対戦した相手が日本の選手、佐藤次郎であったことから、彼は早くから日本のテニス界との関わりを持つこととなりました。1933年には17歳で初めてデビスカップのオーストラリア代表に選出され、海外遠征では全仏選手権のジュニア男子シングルスでも優勝を果たしました。

同大会の男子ダブルスではエイドリアン・クイストとペアを組み、3年連続で決勝に進出しますが、毎回敗れて準優勝となります。特に1934年の全仏選手権男子ダブルス決勝では、地元フランスの組に敗れ、一方でデビスカップでは日本チームとの対戦で佐藤に勝利しますが、次の試合で敗北するという厳しい展開が待っていました。

全豪選手権での栄光

1935年、彼は全豪選手権において男子ダブルス部門でジャック・クロフォードとペアを組み、優勝を達成しました。そして1937年には男子シングルスでついに初の優勝を果たし、21歳でシングルスの栄冠を手に入れました。この優勝は彼にとって大きな成功を意味し、当時のテニスプレーヤーとしても異彩を放つ存在となりました。

戦争とその後の生活

しかし、第二次世界大戦が勃発すると、彼も軍に志願し、1941年からオーストラリア帝国軍に従事しました。戦後、1946年に退役を迎えますが、以前のテニスフォームには戻ることができず、関節炎や喘息にも悩まされることとなりました。彼の時代のライバルたちが復帰を果たす中で、マグラスは後進の育成に力を入れ、オーストラリアにある日本大使館でコーチとしても活躍しました。

最後の時

1978年4月9日、マグラスは冠状動脈閉塞症により62歳という若さでこの世を去りました。彼の葬儀には、かつて競い合ったライバルのジャック・クロフォードやエイドリアン・クイストも参列し、最後の別れを惜しみました。彼の功績はテニス界において今もなお語り継がれ、若き才能たちへと受け継がれています。

主な成績

• - 全豪選手権 男子シングルス：1勝（1937年）
• - 男子ダブルス：1勝（1935年）
• - 男子ダブルス準優勝：2回（1936年、1940年）
• - 全仏選手権 男子ダブルス準優勝：3回（1933年-1935年）
• - 男子シングルス ベスト8（1935年）
• - ウィンブルドン 男子シングルス ベスト8（1935年、1937年）

このようにビビアン・マグラスは、オーストラリアのテニス界において多大な影響を及ぼした選手であり、彼の存在は今も多くのテニスファンに感動を与えています。

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