ビル・エヴァンスに捧ぐ

シェリー・マン・トリオ『ビル・エヴァンスに捧ぐ (Goodbye for Bill Evans)』

アメリカのジャズ・ドラマー、シェリー・マン率いるシェリー・マン・トリオが、1981年に日本で行ったコンサートを収録したアルバムです。このアルバムは、ピアノ・トリオ編成で、特に、前年に亡くなったジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスに捧げられた演奏が特徴となっています。

録音と背景

1981年4月、シェリー・マンはハリー・エディソン（トランペット）、エディ・ロックジョウ・デイヴィス（テナー・サックス）、マイク・ウォフォード（ピアノ）、チャック・ドマニコ（ベース）という5人編成のバンドを率いて4度目の来日を果たしました。4月21日と30日に東京の郵便貯金ホールで行われたコンサートが録音されました。コンサートは二部構成で、前半は5人編成、後半はハリーとエディが抜けたピアノ・トリオ編成で行われました。

1980年9月15日にビル・エヴァンスが亡くなったことを受け、後半のピアノ・トリオ演奏では、ビルの愛奏曲がいくつか演奏され、故人を偲ぶ内容となりました。増田一郎によってステレオ録音され、偶然客席にいたジャズ評論家の大和明がライナーノーツを担当し、アルバム化されました。音源は主に4月21日の演奏が使用されていますが、「グッド・バイ」のみ4月30日のものが使用されています。アルバムジャケットには、阿部克自が撮影したシェリー・マンが慶應義塾の制帽を被った写真が使用されています。

収録曲

1. ナーディス (Nardis) - 8:18
2. マイ・フーリッシュ・ハート (My Foolish Heart) - 6:42
3. いつか王子様が (Someday My Prince Will Come) - 4:25
4. グッド・バイ (Goodbye) - 5:42
5. ハイ・フライ (Hi Fly) - 7:32
6. イエスタデイズ～テイク・ザ・コルトレーン (Yesterdays~(Theme)Take the Coltrane) - 5:40

演奏者

マイク・ウォフォード (Mike Wofford) - ピアノ
チャック・ドマニコ (Chuck Domanico) - ベース
シェリー・マン (Shelly Manne) - ドラム

発売記録

レコード: 1981年、ポリドール、28MJ-3081
CD: 1994年、TDKコア、TDCN-5137
CD: 2004年5月26日、アブソード・ミュージック・ジャパン、ABCJ-306

まとめ

このアルバムは、シェリー・マン・トリオの演奏技術の高さはもちろんのこと、ビル・エヴァンスへの深い敬意と哀悼の意が込められた、感動的な作品です。特に、ピアノ・トリオ編成での演奏は、ビル・エヴァンスの音楽性を色濃く反映しており、彼のファンにとっては必聴のアルバムと言えるでしょう。また、ジャズ・ファンにとっても、この時代のジャズ・シーンを代表する貴重な記録として、高く評価されています。

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