ビータリカ

ビータリカ：ビートルズとメタリカの奇跡的融合

2001年、冗談半分で始まったプロジェクトが、世界的なムーブメントを巻き起こす―。ビータリカは、ビートルズとメタリカという、音楽史上に燦然と輝く2つの伝説的バンドの楽曲を大胆に融合させた、マッシュアップ・バンドとして知られています。

偶然の出会いから生まれた奇跡

ビータリカの物語は、ジェームズ・レンフィールドとカーク・ハメットスンの2人によって、2001年に幕を開けました。彼らは、コンサート出演を記念して、ビートルズとメタリカの楽曲を組み合わせたミニアルバム『A Garage Dayz Nite』をわずか数十枚制作し、知人へ配布したのです。その中の1枚が、ミルウォーキーに住むデヴィッド・ディクソン氏の手元に渡り、彼はその音楽に衝撃を受けました。ディクソン氏は、このバンドを「ビータリカ」と名付け、勝手にウェブサイトを作成。そこで楽曲を公開したのです。

このウェブサイトを通じて、ビータリカの音楽は世界中に広がり、多くのファンを獲得。予想だにしない人気に、メンバー自身は驚きを隠せませんでした。実は、2002年の夏まで、彼らはディクソン氏が作成したウェブサイトの存在を全く知らなかったのです。メンバーはウェブサイトを公式に承認し、2004年にはEP『Beatallica』を発表。さらに、クリフ・マッバートニー（ベース）とリンゴ・ラーズ（ドラムス）を迎え入れ、本格的なライブ活動を開始しました。

版権問題とメタリカ、ソニーATVミュージックパブリッシングとの攻防

ビータリカの楽曲は、ウェブサイト上で自由にダウンロードできる状態にありました。タブ譜も公開されており、ファンは自由に演奏を楽しむことができました。しかし、メンバーは法的リスクを避けるため、匿名で活動していました。

興味深いことに、メタリカはビータリカの存在を知ってはいましたが、法的措置を取ることはありませんでした。むしろ、ラーズ・ウルリッヒ、ジェームズ・ヘットフィールド、カーク・ハメットといったメンバーは、ビータリカのファンを公言していたほどです。

一方、ビートルズの楽曲の版権を多く保有するソニーATVミュージックパブリッシングは、2005年2月17日、ビータリカのウェブサイトへの掲載内容、特に楽曲についてビートルズの著作権を侵害していると主張。ウェブサイトの閉鎖を要求する通告書を送付しました。

この事態を受けて、ビータリカのファンたちはソニーATVミュージックパブリッシングに抗議。メタリカのラーズ・ウルリッヒは、メタリカの顧問弁護士を仲介役として立て、問題の解決に尽力しました。最終的に、ソニーATVミュージックパブリッシングは将来的な法的措置を留保しつつも、ビータリカの活動を黙認する形となりました。

メンバー紹介

ビータリカのメンバー名は、ビートルズとメタリカのメンバー名の組み合わせで構成されています。

ジェームズ・レンフィールド (Jaymz Lennfield)：ヴォーカル、作詞、作曲、リズムギター (ジェームズ・ヘットフィールド + ジョン・レノン)
ジョージ・ハメットスン (Grg Hammetson)：リードギター (カーク・ハメット + ジョージ・ハリスン)
クリフ・マッバートニー (Kliff McBurtney)：ベース (クリフ・バートン + ポール・マッカートニー)
リンゴ・ラーズ (Ringo Larz)：ドラムス (ラーズ・ウルリッヒ + リンゴ・スター)

かつては、カーク・ハメットスン（本名：Michael Brandenburg）がリードギターを担当していました。

ディスコグラフィー

2007年までは、ビータリカの楽曲はMP3とFLAC形式でのダウンロードのみで提供されていました。その後、CD化もされ、多くのファンに届けられています。主な作品は以下の通りです。

スタジオ・アルバム

『サージェント・ヘットフィールズ・モーターブレス・パブ・バンド』(2007年)
『マスターフル・ミステリー・ツアー』(2009年)
『アビ〜ロード』(2013年)
The Devolver Album (2021年)

EP

A Garage Dayz Nite (2001年)
Beatallica (2004年)
『オール・ユー・ニード・イズ・ブラッド (血こそすべて)』(2008年)
Winter Plunderband' (2009年)

ビータリカは、音楽の垣根を越えた融合と、ファンたちの熱意によって支えられた、異色のマッシュアップバンドと言えるでしょう。その活動は、音楽の可能性を改めて私たちに示してくれています。

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