ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! (映画)

『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』

1964年に公開された『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』（原題: A Hard Day's Night）は、ビートルズにとって初の主演映画であり、リチャード・レスターが監督を務めました。本作は、イギリスの短編コメディ作品を手がけていたレスターが映画業界に進出する際の重要な機会となりました。脚本を担当したアラン・オーウェンは、アメリカのミュージシャン映画に見られる泥臭いメロドラマとは異なり、イギリスのユーモアと気質を生かしたコメディを目指しました。

物語は、ビートルズが追っかけのファンたちに振り回されながら、列車やホテルでのハプニングを繰り広げる様子を描いています。ポールの祖父であるジョン・マッカートニーは活発で、お騒がせな存在。彼のいたずらによって、ビートルズは様々なトラブルに巻き込まれることとなります。例えば、リンゴは遊び心のある祖父にそそのかされて散歩に出かけるが、彼の失敗談は数多く描かれています。彼の行動は、警察に誤解されるきっかけとなり、3人の仲間たちはリンゴを本番直前に探しに行く事態にまで発展します。

この映画は、アメリカ市場での成功を意識して制作され、サウンドトラックのアルバムが同名でリリースされました。このアルバムは、ビートルズのオリジナル曲のみを収録した初のものであり、音楽ファンに大きな影響を与えました。また、映画自体も低予算でモノクロ映像として制作されましたが、意外な成功を収め、アメリカでも多くのファンを魅了しました。

邦題『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』は、映画評論家の水野晴郎が名付けたもので、これはアメリカ市場を意識したものであるとも推測されています。後に、これが誤解にもつながったという話もあります。元々の英語題名の由来は、リンゴ・スターの「It's been a hard day」というセリフにちなみ、仕事の終わりに彼が気付いたことに由来しています。

映画のキャストは、全員がビートルズであり、当然それぞれが目立つ役割を果たしていますが、特にリンゴ・スターの演技は高く評価されました。これにより、彼は以降の映画出演へとつながっていきました。

興味深いことに、映画の公開時には、若き日のフィル・コリンズがエキストラとして出演しており、後にメイキング映像のホスト役を務めることになります。また、撮影中のエピソードにはビートルズの仲間であるスタッフや家族も関わっており、逆に制作過程にユニークなストーリーが付随しました。

レノン＝マッカートニーによる楽曲がふんだんに使用されており、その中のいくつかの曲は作品のテーマを語る重要な要素となっています。本作は、ビートルズの音楽キャリアの中でも特に記憶に残る作品となり、彼らの人気をさらに高める結果となりました。2001年には、邦題が『ハード・デイズ・ナイト』と改められ、再上映されることになりました。これにより、新たな観客層にもその魅力が伝わることになったのです。

この映画を通じて、ビートルズのユーモア、音楽、そして彼ら自身の人間性が垣間見え、今なお多くのファンに愛されています。

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