ビーマン・バングラデシュ航空60便着陸失敗事故

ビーマン・バングラデシュ航空60便 事故の概要

ビーマン・バングラデシュ航空60便は、バングラデシュの首都ダッカにあるシャージャラル国際空港と、ミャンマーのヤンゴン国際空港を結ぶ定期国際旅客便でした。2019年5月8日、ボンバルディアQ400型機で運航されていたこの便は、ヤンゴン国際空港への着陸時に滑走路を逸脱し、機体が大きく三つに分断されるという重大な事故を起こしました。

幸いにも死者は発生しませんでしたが、乗員5名を含む乗客28名のうち24名が負傷しました。この事故は、悪天候下での着陸判断と操縦士の操作に起因するものでした。

事故機について

事故を起こした機体は、登録番号S2-AGQのボンバルディアQ400型機でした。この機体は、2011年にスマートアビエーション社に納入された後、2015年4月にビーマン・バングラデシュ航空に新造機としてリースされました。事故発生時までの総飛行時間は8,115時間でした。

事故発生の状況

事故当日の5月8日15時15分頃（現地時間）、60便はシャージャラル国際空港を出発し、ヤンゴン国際空港へと向かいました。ヤンゴン国際空港周辺は着陸時、雷雨に見舞われており、視界は3,000mから4,000m程度、風速は18km/hから36km/hと、非常に天候が悪い状況でした。

60便は、ヤンゴン国際空港の滑走路21への着陸進入中に突然左に逸れ、滑走路を逸脱しました。機体は滑走路脇の草地で停止しましたが、その衝撃で機体が三つに分断され、ランディングギアや右翼にも大きな損傷を受けました。機体は広範囲に損傷し、修理は不可能と判断されました。

乗客乗員のうち死者は出なかったものの、4名の乗員と8名の乗客が重傷を負いました。その他、軽傷者も多数発生しました。

事故原因の究明

ミャンマー航空事故調査局の最終報告書によると、この事故の主な原因は、悪天候下での着陸時に機体が不安定な状態になったにもかかわらず、パイロットが着陸復行（ゴーアラウンド）を行わず、着陸を強行したことであると結論づけられました。

また、事故発生当時、空港のILS（計器着陸装置）のグライドスロープが正常に機能していなかったことも判明しました。さらに、滑走路進入時の対気速度が140～150ノットと、通常の進入速度を20～30ノット超過していたこと、離陸速度も大幅に超過していたことなどが指摘されています。

これらの要因が複合的に重なり、機体が制御不能に陥った結果、滑走路逸脱という重大な事故に繋がったと考えられます。

事故後の影響

この事故により、ビーマン・バングラデシュ航空は機体を失い、乗客乗員に多数の負傷者が出ました。また、航空機の安全運行に対する意識を再確認する契機となりました。

関連情報

ビーマン・バングラデシュ航空
ボンバルディアQ400

この事故は、悪天候下での航空機の運航におけるリスクと、パイロットの判断がいかに重要であるかを改めて示す事例となりました。

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