ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』：青春アクションコメディの金字塔

1988年8月6日に公開された『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』は、きうちかずひろの人気コミック『ビー・バップ・ハイスクール』を実写映画化したシリーズ第5作目です。前作から続く人気シリーズの最新作として、多くのファンを劇場に呼び込みました。本作最大の特徴は、シリーズを通してヒロシ役を演じてきた清水宏次朗の不在です。清水のコンサートツアーと撮影スケジュールの都合がつかず、ヒロシは物語開始時点で傷害事件を起こして留置されているという設定が採用されました。そのため、今作では仲村トオル演じるトオルが単独主演として物語を牽引することになります。

物語：抗争と友情の狭間で

物語は、トオルが北高の生徒たちとトラブルを起こすことから始まります。北高の番長・前川新吾とは友人関係にあるトオルですが、北高の工藤を中心とする一派は、立花商業や愛徳高校の一部勢力と手を結び、抗争を拡大しようと企んでいました。工藤の野望は、混乱に乗じて前川を排除し、北高のトップに立つこと。トオルと前川は、全面戦争を回避しようとしますが、事態は彼らの予想をはるかに超えて深刻化していきます。

抗争は避けられなくなり、最終的にはトオルと前川がタイマン勝負を繰り広げる事態に。しかし、工藤一派の妨害が入り、大乱闘へと発展します。激しい闘いの末、トオルは工藤を倒し、前川もトオルの勝利を認め、両者の和解という形で物語は幕を閉じます。本作では、従来のビー・バップシリーズで見られた友情やユーモアの要素に加え、スケールアップしたアクションシーンも大きな見どころとなっています。

キャストと制作：数々のエピソードが光る

本作には、シリーズおなじみのキャストに加え、新たなキャラクターも登場します。立花商業の菊永役は、前作まで石井博泰が演じていましたが、本作では高橋秀治が二代目菊永として抜擢されました。石井の降板劇は、ギャラ問題が原因だったことが後に明らかになっています。また、郷ミノル役の土岐光明は撮影中に負傷するアクシデントに見舞われるなど、撮影現場は様々な出来事に彩られていました。

他にも、前作で敵役だった城東工業高校の柴田と西が本作でも出演を果たし、今作ではトオルたちと共闘する展開に。また、北高の工藤役を演じた殺陣剛太は、小沢仁志との繋がりがきっかけで本作に出演が決定。劇団員仲間も多数出演しています。五中の鬼姫・如月翔子役の立花理佐は、当初は主題歌のオファーを受けていたものの、その後翔子役を演じることになり、ロングヘアをバッサリ切るなど役作りに励みました。バス喫茶「源次丸」のマスター役には、泉谷しげるが出演。当初は菅原文太が予定されていたものの、実現せず、きうちかずひろの推薦で泉谷が決定しました。

撮影秘話：大掛かりな撮影と様々な困難

撮影は、静岡、愛知、神奈川など複数地域で行われました。紙工場での監禁シーンでは、特殊メイクに3時間以上を費やすなど、大掛かりな撮影が行われています。土岐光明のワイヤーアクションシーンではアクシデントが発生し、負傷した土岐は結婚式に車椅子で出席せざるを得ない状況に。こうした撮影現場での様々な困難やエピソードが、作品に深みを与えています。

作品の評価と興行成績

本作は前作と比較して興行収入が減少しましたが、併映作品の影響も指摘されています。様々な出来事やエピソードが詰まった本作は、シリーズファンのみならず、青春アクションコメディを好む多くの観客を魅了しました。ビー・バップ・ハイスクールの魅力が凝縮された、必見の一作と言えるでしょう。

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