ピアノ三重奏曲第4番 (ドヴォルザーク)

ピアノ三重奏曲 第4番 ホ短調『ドゥムキー』

アントニーン・ドヴォルジャークが1891年2月に完成させた「ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調」は、室内楽の中でも特に魅力的な作品です。この楽曲は、ウクライナの叙事的な歌謡に由来する副題「ドゥムキー」を持っており、この名称は「ドゥムカ」の複数形を示します。ドゥムカとは、一般的に憂いを帯びた歌であり、この曲もその影響を顕著に受けています。

楽曲構成

このピアノ三重奏曲は、以下の6つの楽章から成り立っています。各楽章が自由な形式で構成されており、それぞれに独自の風味を持っていますが、全体を通して一貫性はありません。

1. Lento maestoso - Allegro quasi doppio movimento - Lento - Allegro (ホ短調)
2. Poco adagio - Vivace non troppo - Poco adagio - Vivace (嬰ハ短調)
3. Andante - Vivace non troppo - Andante (イ長調～イ短調～イ長調)
4. Andante moderato (Quasi tempo di Marcia) - Allegretto scherzando - Meno mosso - Allegretto scherzando - Meno mosso - Allegro - Meno mosso - Moderato (ニ短調)
5. Allegro - Meno mosso - In tempo - Meno mosso - Piu mosso (変ホ長調)
6. Lento maestoso - Vivace - Lento - Vivace (ハ短調～ハ長調)

各楽章はソナタ形式を持たないため、従来のクラシック音楽の枠から外れた新しい表現がなされています。そのため、一連の楽章がキャラクターピースのように寄せ集められた印象も与えます。これにより音楽は、突然の転調や急激なテンポや気分の変化が特徴的に表れます。

音楽的特徴

ドヴォルジャーク独特のスラヴ的な悲しみが、全体にわたり流れる美しい旋律となって響きます。また、ジプシー音楽やチェコの民族舞曲から影響を受けたリズミカルな要素も盛り込まれており、その対比によって音楽が一層引き立っています。これらの特性は、作品全体に印象深い感情を与え、聴衆を引き込む要因となっています。

演奏にかかる時間は約33分であり、コンパクトなながらも多様な表現が詰め込まれた作品です。

関連情報

この楽曲と同様に、他の作曲家によるピアノ三重奏曲も注目に値します。例えば、チャイコフスキーの「ピアノ三重奏曲」や、悲しみの三重奏曲も、その深い情感が特徴です。

外部リンク

ピアノ三重奏曲第4番の楽譜は、国際楽譜ライブラリープロジェクト)でご覧いただけます。

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