ピカソ美術館 (パリ)

パリのマレ地区に位置するピカソ美術館は、パブロ・ピカソの作品を専門に収蔵・展示する国立美術館です。正式名称はパリ国立ピカソ美術館。そのコレクションは、ピカソの遺族が相続税として国に納めた作品が中心となっており、彼が手元に置いていた貴重な作品群を鑑賞することができます。

コレクション

美術館には、初期の「青の時代」の代表作である『自画像』をはじめ、『籐椅子のある静物』、『肘掛け椅子に座るオルガの肖像』、『浜辺を駆ける二人の女 (駆けっこ)』、『牧神パンの笛』、『ドラ・マールの肖像』、『接吻』など、時代を代表する作品が数多く収蔵されています。絵画だけでなく、彫刻、デッサン、陶器、版画、直筆の手紙や写真など、多岐にわたる作品を通して、ピカソの芸術の軌跡を辿ることが可能です。また、ピカソ自身が収集したブラック、セザンヌ、ドガ、マティスなどの作品も所蔵しており、彼の芸術的背景を知る上でも貴重なコレクションとなっています。

展示

作品は年代順に展示されており、青の時代、バラ色の時代、キュビスム、新古典主義、シュルレアリスムといった、ピカソの画風の変遷を体感できます。美術館の庭園には、彼が制作した彫刻が配置され、屋外でもピカソの芸術に触れることができます。

歴史的建造物

美術館の建物自体も歴史的価値の高い建造物です。元々は塩税徴収官の邸宅であった「オテル・サレ（塩の館）」と呼ばれる建物で、17世紀に建築家ジャン・ド・ブイエによって建設されました。1964年にパリ市が買収した後、美術館への転用が決定。建築家ロラン・シムネが改修を担当し、ディエゴ・ジャコメッティが内装デザインを手がけました。1985年に美術館として開館し、2009年から大規模な改修工事が行われ、2014年にリニューアルオープンしました。

世界巡回展

2009年からの改修期間中には、収蔵品の世界巡回展が開催され、日本でも東京の国立新美術館とサントリー美術館で同時開催されました。この展覧会では、『牧神パンの笛』や『ドラ・マールの肖像』など、多くの代表作が展示され、日本の美術ファンを魅了しました。

主な収蔵品

『自画像』 (1901年末)
『ラ・セレスティーナ』 (1904年3月)
『二人の兄弟』 (1906年夏)
『木陰の三人の人物』 (1907年-1908年冬)
『ギターを弾く男』 (1911年秋)
『籐椅子のある静物』 (1912年春)
『画家とモデル』 (1914年夏)
『肘掛け椅子に座るオルガの肖像』 (1917年秋)
『帽子をかぶった娘』 (1921年)
『闘牛』 (1922年)
『浜辺を駆ける二人の女 (駆けっこ)』 (1922年夏)
『牧神パンの笛』 (1923年夏)
『ピエロに扮するパウロ』 (1925年2月28日)
『赤い肘掛け椅子の大きな裸婦』 (1929年5月5日)
『海辺の人物たち』 (1931年1月12日)
『彫刻家』 (1931年12月7日)
『読書』 (1932年1月2日)
『ドラ・マールの肖像』 (1937年)
『マリー＝テレーズの肖像』 (1937年1月6日)
『泣く女』 (1937年10月18日)
『子どもと鳩』 (1943年8月24日)
『朝鮮の虐殺』 (1951年1月18日)
『草上の昼食 (マネによる)』 (1960年3月-8月)
『接吻』(1969年10月26日)
『抱擁』 (1970年9月26日)
『若い画家』 (1972年4月14日)

所在地

5, rue de Thorigny, 75003 Paris

アクセス

メトロ1号線 サン・ポール駅下車、北へ徒歩
メトロ8号線 サン＝セバスチャン＝フロワサール駅下車、南西へ徒歩。または、シュマン・ヴェール駅下車、西へ徒歩

もう一度検索