ピカロネス

ペルーの国民的お菓子、ピカロネス：その歴史と魅力、そしてチリとの論争

ペルーの屋台で多くの人々を魅了する伝統菓子、ピカロネスをご存知でしょうか？ドーナツに似た形をしたこのお菓子は、ペルーの国民的スイーツとして愛されています。3個か4個単位で売られることが多いため、複数形の「ピカロネス」で呼ばれるのが一般的です。

ピカロネスの特徴は何と言ってもその材料にあります。一般的なドーナツとは異なり、小麦粉の代わりにカボチャやサツマイモを使用するのが最大の特徴です。これにより、独特の風味と、しっとりとした食感が生まれます。揚げたてのピカロネスに、黒く甘い蜜をかけていただくのが定番の食べ方です。

その起源は、スペインの揚げ菓子ブニュエロにまで遡ります。小麦粉が高価だった時代、人々はより安価なカボチャやサツマイモを代用として使い始めました。それが、現在のピカロネスへと受け継がれてきたのです。ペルーでは、カボチャやサツマイモだけでなく、ジャガイモを使ったピカロネスも存在します。材料のバリエーションも、このお菓子の魅力の一つと言えるでしょう。

しかし、ピカロネスを取り巻く状況は、決して平穏なものではありません。近年、隣国チリとの間で、その起源を巡る論争が勃発しているのです。

2016年、チリの情報を世界に発信する「チリ・イメージ財団」は、自身のFacebookページ「Marca Chile」において、ピカロネスがチリ発祥の伝統菓子であるかのような投稿を行いました。この投稿は、ペルーのネットユーザーから激しい反発を招き、抗議が殺到しました。結果、投稿はすぐに削除されることとなりました。

これは、チリによる一方的な主張が原因です。チリは、過去にもペルー料理の起源を巡って同様の主張を行っており、2014年にはFacebookページ「Amigos de Chile」において、ピカロネスの他、セビーチェ、カウサ、ススピロ・デ・リメーニャといったペルー料理をチリ発祥であるかのように宣伝する投稿がなされました。

これらの出来事は、ピカロネスが単なるお菓子ではなく、ペルーの文化やアイデンティティと深く結びついていることを示しています。チリとの論争は、ペルー国民の強い反発を招き、ピカロネスのペルーにおける地位を改めて認識させる結果となりました。

今後も、ピカロネスはペルーの人々の生活に根付いた、大切な伝統菓子であり続けるでしょう。その独特の風味と、歴史にまつわる様々な出来事は、私たちに多くのことを語りかけてくれます。ピカロネスを食べる際には、その歴史と、ペルーの人々の強い思いを感じながら、味わってみてください。

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