ピットラトリン

ピットラトリンとは

ピットラトリンは、主に発展途上国で普及している、穴を掘って作った簡易的な便所です。日本ではあまり馴染みがありませんが、世界的に見ると、近代的な衛生設備が整っていない地域では重要な役割を果たしています。地上に便器だけが設置されたようなトイレと比較して、地下に穴を設けることで、ある程度の衛生環境を保つことができます。

特徴

ピットラトリンは、汲み取り式便所とは異なり、地下のピット（槽）が満杯になったら閉鎖し、別のピットを使用する点が大きな特徴です。これは地下浸透式と呼ばれる方式で、一度閉鎖されたピットは、1～2年ほど土中に放置することで、疫学的に無害な状態に戻るように設計されています。汚水処理技術の分類上は、汲み取り方式と同様に乾式に分類されますが、汲み取り方式が集中処理であるのに対し、ピットラトリンは分散処理であるという違いがあります。

世界での普及

日本トイレ協会の調査によると、発展途上国ではピットラトリンが最も一般的な形式のトイレであることがわかっています。簡素な構造でありながら、一定の衛生環境を保つことができるため、資源が限られた地域でも導入しやすいという利点があります。

改良型ピットラトリン

従来のピットラトリンに改良を加えたものとして、VIP（Ventilated Improved Pit）と呼ばれる形式があります。これは、通気口や換気扇、コンクリートのシールドなどを設置することで、臭いやハエの発生を抑制し、衛生環境を向上させることを目的としたものです。

国連の評価

国連ミレニアム開発目標（MDGs）では、衛生施設に関する指標において、換気や蓋が付いた整備されたピットラトリンは「改良された」衛生施設と分類されています。一方で、蓋のないピットラトリンや開放式のピットは、「改良されていない」衛生施設とみなされています。これは、ピットラトリンの形式によって、衛生環境への影響が異なることを示しています。

ピットラトリンは、簡素ながらも衛生的な環境を保つための重要な選択肢ですが、更なる改良によって、より安全で快適なトイレ環境を実現できる可能性を秘めていると言えるでしょう。

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