ピニオンカッタ

ピニオンカッタは、歯車を歯切り盤で創成切削する際に使用される、歯車形状の特殊な切削工具です。一般的には平歯車の形状をしており、刃の側面には逃げ角が設けられています。

ピニオンカッタの切削原理

ピニオンカッタは、その歯車型の刃を加工対象の歯車に押し付け、往復運動させることで歯切り加工を行います。このプロセスは、歯車を側面から少しずつ削り出すため、加工速度は比較的遅いです。しかし、その独特な切削方式により、ホブでは加工が困難な内歯車や段付き歯車といった複雑な形状の歯車を加工できるという大きな利点があります。

特徴と加工プロセス

ピニオンカッタによる歯切り加工では、歯の往復運動に合わせて加工対象が断続的に回転送りされるため、歯面は多角形状になります。このため、ピニオンカッタによる加工は、歯車の荒加工として位置づけられます。この荒加工の後に、より精密な歯面を得るために、シェービングカッタによるシェービング加工や、歯面研削といった仕上げ加工が施されます。

ピニオンカッタの利点

• - 複雑な形状への対応: ホブでは加工が難しい内歯車や段付き歯車といった、複雑な形状の歯車を加工できます。
• - 高い汎用性: 様々な種類の歯車の加工に対応できるため、幅広い製造現場で活用されています。
• - 精密加工への下準備: シェービング加工や研削加工の準備段階として、効率的な荒加工を提供します。

他の切削工具との関連性

ピニオンカッタは、歯車加工のプロセスにおいて、他の切削工具と密接に関連しています。特に、以下のような工具との関係が重要です。

• - ラックカッタ: ピニオンカッタと同様に歯車を創成切削する工具ですが、ラック形状の刃を持つ点が異なります。
• - シェービングカッタ: ピニオンカッタで荒加工した歯面を、より滑らかで精密に仕上げるための工具です。
• - ホブ: 歯車の歯切り加工に広く使用される工具ですが、内歯車や段付き歯車の加工には適していません。

まとめ

ピニオンカッタは、歯車加工における重要な切削工具の一つであり、特に複雑な形状の歯車の加工においてその真価を発揮します。その加工原理、特徴、および他の工具との関連性を理解することで、より高度な歯車加工技術へと繋がります。

参考文献

• - 萱場孝雄・加藤康司 『機械工作概論』 理工学社、1986年。

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