ピネローロ

ピネローロ：歴史と文化が息づくイタリアの街

ピネローロは、イタリア共和国ピエモンテ州トリノ県に位置する、人口約3万6000人の基礎自治体（コムーネ）です。トリノの南西約40kmに位置し、中世には交通の要衝として重要な役割を果たしました。この地は、サヴォイア家によって要塞が築かれたことでも知られ、歴史的な背景を持つ街として、多くの人々にその名を知られています。

名称

イタリア語ではPineroloと表記されますが、フランス語ではPignerol（ピニェロール）と呼ばれています。

地理

ピネローロはトリノ県南部に位置し、県都トリノから南西へ約40kmの距離にあります。近隣には、ブリアスコ、クミアーナ、フロッサスコ、ガルツィリアーナなど、多くのコムーネが隣接しています。

歴史

ピネローロの歴史は古く、10世紀の文献にその名が初めて登場します。当時、ピネローロはトリノ領主の支配下にあり、修道院長が行政を担っていました。

13世紀には、サヴォイア伯アメデーオ4世によって保護領とされ、1243年にはサヴォイア家の完全な支配下に入りました。1247年にはコムーネ（市民共同体）が成立し、ピネローロは自治都市としての歩みを始めました。

16世紀には、フランス王国軍によって占領され、一時的にフランスの支配下に入りましたが、17世紀のケラスコ条約によって再びフランス領となりました。17世紀後半には、失脚した大蔵卿ニコラ・フーケや、謎の囚人「鉄仮面」がピネローロの要塞に収容されました。特に「鉄仮面」の収容は、ピネローロの歴史において特筆すべき出来事として語り継がれています。

17世紀末には、大同盟戦争の影響で、ピネローロはサヴォイア公国に返還されましたが、要塞は破却されることになりました。その後、ピネローロは都市として発展を続け、2006年のトリノオリンピックではカーリングの会場となりました。

行政

ピネローロには、多くの分離集落（フラツィオーネ）が存在します。Abbadia Alpina, Ainana, Avaro/Tron, Bacchiasso, Batur, Baudenasca, Biscornetto, Borgata Colombaio, Borgata Orba, C.E.P., Cascina della Cappella, Cascina Ghiotta, Cascina Gili, Cascina Nuova, Cascina Pol, Case Bianche, Case Nuove, Colletto, Gerbido di Costagrande, Gerbido di Riva, Graniera, Losani, Motta Grossa, Pascaretto, Riauna, Riva, Rubiani, Salera, San Martino, Stazione di Riva, Talucco, Villa Motta Rasiniなど、それぞれの集落が独自の歴史と文化を伝えています。

姉妹都市

ピネローロは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ギャップ（フランス、1963年提携）
トラウンシュタイン（ドイツ、1986年提携）
サン・フランシスコ（アルゼンチン、1996年提携）
デルヴェンタ（ボスニア・ヘルツェゴビナ、2005年提携）

著名な出身者とゆかりの人物

ピネローロは、多くの著名な人物を輩出してきました。

ルイージ・ファクタ：19世紀から20世紀にかけて活躍した政治家で、イタリア王国の首相を務めました。
フェルッチョ・パッリ：20世紀のパルチザン活動家・政治家で、第二次世界大戦末期のイタリア王国首相を務めました。

ピネローロにゆかりのある人物としては、

ニコラ・フーケ：17世紀のフランスの政治家で、失脚後にピネローロの監獄に収容され、当地で生涯を終えました。
鉄仮面：17世紀から18世紀にかけて存在したとされるフランスの囚人。1669年にピネローロの監獄に収容された記録が残っています。


ピネローロは、その豊かな歴史と文化、そして美しい自然環境で、訪れる人々を魅了し続けています。この街には、中世から現代に至るまでの様々な歴史が刻まれており、その足跡をたどることで、歴史の深みを感じることができます。

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