ピノキオ√964

映画『ピノキオ√964』の魅力と背景

『ピノキオ√964』は、1991年に公開された日本の自主制作ホラー映画で、福居ショウジンが監督を務めた初の16ミリ作品です。この映画は、彼の短編8ミリ映画『ゲロリスト』に引き続き、過激な表現が多く含まれており、特に嘔吐シーンは観客に強烈な印象を与えました。また、当時国内で初めて導入された巨大スピーカーPAシステムにより、観客の音響体験も注目のポイントとなりました。映画は2008年12月22日にDVDとしてリリースされ、再び観客の目に触れることとなりました。

ストーリーの概要

物語は、禁忌のロボトミー手術を受けたピノキオが、街のゴミ捨て場で記憶喪失の女性ヒミコと出会うところから始まります。最初は一緒に暮らし始める二人ですが、平穏な日常は突然崩れ去ります。ピノキオは壊れ始め、激痛に耐えつつ吐血し、その肉体は溶けていくのです。この事態にヒミコは衝撃を受け、次第に彼に対して虐待を行うようになります。

ピノキオはますます壊れ、ついにはヒミコの家を出て製造元へ助けを求めに行きますが、そこで冷たくあしらわれた彼は逆上し、社長を殺害してしまいます。この瞬間から、ヒミコとピノキオの間に最後の戦いが繰り広げられます。二人の対立は、見る者に深い考察を促すものです。

スタッフとキャスト

映画の制作陣には、監督の福居ショウジンをはじめ、助監督の渡辺富男、脚本チームとして福居自身、浜口真、合田尚志が参加し、脚本協力には利重剛が名を連ねています。撮影は平澤和則、音楽は長嶌寛幸が担当し、美術は鈴木はぢと灰谷哲也が手がけています。編集と制作プロデューサーはそれぞれ福居ショウジンと合田尚志が担当し、総合プロデューサーには工藤虎雄が名を連ねています。

キャストには、ピノキオ役を演じる鈴木はぢ、ヒミコ役のONN-CHANを始め、サブキャラクターとして大坪光路、原恭子、三遊亭楽麻呂、合田尚志、友情出演の北公次が参加しています。彼らは独特のキャラクターを生き生きと演じ、映画に深みを与えます。

海外映画祭での評価

『ピノキオ√964』は、国際的にも評価されており、1992年にはロッテルダム国際映画祭に招待作品として出展されました。また、2013年にはポーランドで開催されたt-mobile ニューホライゾン国際映画祭のCyberpunk部門にも出品され、その存在感を示しました。

この映画は、その衝撃的な映像表現とストーリー展開、そして音響システムを駆使した視覚・聴覚体験によって、ファンの心に強く残る作品となっています。ピノキオの運命やヒミコとの関係性は、ただのホラーに留まらず、観る者にさまざまな感情を呼び起こします。

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