ピピン (イタリア王)

ピピン（777年 - 810年）は、フランク王国のカール大帝と王妃ヒルデガルドの間に生まれた次男で、イタリア王（ランゴバルド王）として知られています。彼の生涯は、フランク王国の拡大と、イタリアにおける支配の確立という歴史的な転換期に深く関わっています。

生涯

ピピンは、初めカールマンという名前で呼ばれていました。しかし、781年4月14日、教皇ハドリアヌス1世が代父となり洗礼を受けた際、父カール大帝によってピピンと改名されました。同年のうちにピピンはイタリア王に任命され、教皇ハドリアヌス1世の手で戴冠式を執り行いました。これにより、ピピンはフランク王国のイタリア支配を象徴する存在となり、その後のイタリアにおける政治と文化に大きな影響を与えることになります。

ピピンの治世は、ランゴバルド王国の伝統を引き継ぎつつ、フランク王国の影響下でイタリアの統治を進めるという複雑なものでした。彼は、行政組織の整備や、各地の有力貴族との関係構築に努めました。また、教会との連携を密にし、領内の安定と発展に貢献しました。彼の統治は、フランク王国のイタリア支配を確固たるものにする上で、重要な役割を果たしました。

810年、ピピンはミラノで死去しました。彼の死後、子供たちはカール大帝のアーヘンの宮廷に引き取られ、そこで教育を受けることとなりました。ピピンの遺産は、その子供たちによって受け継がれ、後のヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。

子女

ピピンには、庶出の王子1人と王女5人がいました。

ベルンハルト（797年 - 818年）：ピピンの息子であり、後にイタリア王（813年 - 818年）となりました。彼の子孫は、ヴェルマンドワ伯として知られています。ベルンハルトの短い治世は、フランク王国の内紛と深く関わっており、彼の死後、イタリアの政治情勢はさらに複雑化しました。
アデライーデ：ピピンの娘の一人。
アドゥラ：ピピンの娘の一人。
グンドラーダ：ピピンの娘の一人。
ベルトラーデ：ピピンの娘の一人。
テオドラーダ：ピピンの娘の一人。

これらの子供たちは、ピピンの死後も、フランク王国とその後のヨーロッパの政治に、様々な形で関与することとなりました。

まとめ

ピピンは、フランク王国の拡大期において、イタリア王として重要な役割を果たしました。彼の統治は、フランク王国のイタリア支配を確固たるものにする上で不可欠であり、彼の死後も、その子供たちを通じて、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与え続けました。ピピンの生涯は、中世初期のヨーロッパにおける政治と文化の複雑な関係を理解する上で、重要な視点を提供しています。

参考文献

五十嵐修『地上の夢 キリスト教帝国 カール大帝の〈ヨーロッパ〉』講談社、2001年
Christian Settipani, The Prehistory of the Capetian (New genealogical history of the august house of France, vol. 1), Villeneuve d'Ascq, ed. Patrick van Kerrebrouck, 1993545 p. (ISBN 978-2-95015-093-6) , p. 211-2
MEDIEVAL LANDS, "Carloman (Pepin)"（2016年11月20日閲覧）

関連項目

イタリア王
* ランゴバルド王国

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