ピュア・インスティンクト〜蠍の本能

ピュア・インスティンクト〜蠍の本能 (Pure Instinct)

「ピュア・インスティンクト〜蠍の本能」は、ドイツを代表するハードロック・バンド、スコーピオンズが1996年にリリースした、通算13作目のスタジオ・アルバムです。バンドの成熟期に発表された本作は、タイトル通り「純粋な本能」あるいは「蠍の本能」といった意味合いを帯び、彼らの音楽的ルーツや、その時点での感性を反映した楽曲が収められています。

スコーピオンズは、ヴォーカルのクラウス・マイネとギタリストのルドルフ・シェンカーを中心とする不動のラインナップで活動を続けていますが、本作のレコーディングにおいては、ドラムスにバンドの正式メンバーではなく、外部のセッション・ミュージシャンであるカート・クレスを迎えて制作が行われました。この点が、本作のサウンドに影響を与えている可能性も考えられます。

アルバムに収録されている楽曲は、バンドの中心ソングライターであるクラウス・マイネとルドルフ・シェンカーによって書かれたものが大半を占めます。特に作詞については、特筆すべき例外を除き、すべてクラウス・マイネが担当しています。作曲はルドルフ・シェンカーによる楽曲が多くを占めますが、クラウス・マイネ自身が作曲を手がけた楽曲も複数収録されています。また、収録曲の中でも「ホウェン・ユー・ケイム・イントゥ・マイ・ライフ」は、クラウス・マイネ、ルドルフ・シェンカーに加え、ティティエク・プスパ、ジェイムズ・F・スンダといった他の共作者がクレジットされており、国際的なコラボレーションの一端を垣間見ることができます。

アルバム本編には全11曲が収録されていますが、日本盤にはボーナス・トラックとして「シーズ・ノッキング・アット・マイ・ドア」が追加され、合計12曲となっています。以下に収録曲リストを記載します。

ワイルド・チャイルド (Wild Child) - 4:19 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
バット・ザ・ベスト・フォー・ユー (But The Best For You) - 5:26 (作曲：クラウス・マイネ)
ダズ・エニワン・キノウ (Does Anyone Know) - 6:03 (作曲：クラウス・マイネ)
ストーン・イン・マイ・シュー (Stone In My Shoe) - 4:42 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
ソウル・ビハインド・ザ・フェイス (Soul Behind The Face) - 4:14 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
オー・ガール（アイ・ウォナ・ビー・ウィズ・ユー) (Oh Girl (I Wanna Be With You)) - 3:56 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
ホウェン・ユー・ケイム・イントゥ・マイ・ライフ (When You Came Into My Life) - 5:13 (作詞・作曲：クラウス・マイネ、ルドルフ・シェンカー、ティティエク・プスパ、ジェイムズ・F・スンダ)
ホウェア・ザ・リヴァー・フロウズ (Where The River Flows) - 4:16 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
タイム・ウィル・コール・ユア・ネイム (Time Will Call Your Name) - 3:21 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
ユー・アンド・アイ (You And I) - 6:16 (作曲：クラウス・マイネ)
アー・ユー・ザ・ワン？ (Are You The One?) - 3:15 (作曲：ルドルフ・シェンカー)
シーズ・ノッキング・アット・マイ・ドア (She's Knocking At My Door) - 3:21 (日本盤ボーナス・トラック, 作曲：ルドルフ・シェンカー)

特記のない楽曲はクラウス・マイネが作詞を担当しています。

本作に参加した主なミュージシャンは以下の通りです。

クラウス・マイネ：ヴォーカル
ルドルフ・シェンカー：リズム・ギター、バッキング・ヴォーカル
マティアス・ヤプス：リード・ギター
ラルフ・リーカーマン：ベース
* カート・クレス：ドラムス、パーカッション (セッション・ミュージシャン)

「ピュア・インスティンクト」は、スコーピオンズの長いキャリアの中での一つの節目となる作品であり、彼らが1990年代半ばにどのような音楽性を追求していたかを知る上で重要なアルバムと言えるでしょう。外部ドラマーの起用や、ソングライティングのクレジットなど、彼らの音楽制作に対する当時のアプローチが垣間見える作品となっています。

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