ピロンの秘密

ピロンの秘密：手塚治虫のSF冒険活劇

手塚治虫原作の漫画『ピロンの秘密』は、1960年から1961年にかけて連載されたSF冒険活劇です。宇宙から逃れてきた王子とロボット、そして地球の少年たちの友情を描いた物語は、多くの読者に愛されました。この記事では、漫画版『ピロンの秘密』、そのスピンオフ作品である幼年版漫画『ピロンちゃん』、そしてテレビドラマ版について詳しく解説します。

漫画版『ピロンの秘密』

主人公は活発な少年、本郷昭男と、警視庁刑事である兄の鉄男。二人は山でキャンプ中に、宇宙から逃れてきたピロン王子と、彼の護衛ロボットであるミラと出会います。ピロンは、故郷の惑星カストル星で起きた反乱から逃れてきたのです。反乱を起こしたのは、権力を握ろうとする野心的な大臣バレス。ピロンを抹殺するために、地球にも追っ手を送り込んできます。

昭男と鉄男はピロンとミラの地球での生活を助け、バレスの追っ手、通称「黒星」と戦うことになります。物語は、様々な事件を巻き起こしながら展開していきます。

主な登場人物:

本郷昭男: 活発で勇敢な少年。ブーメランを武器として使います。
本郷鉄男: 昭男の兄で警視庁の刑事。射撃の名手です。
ピロン: カストル星の王子。変身機を使って地球人の少年の姿をしています。
ミラ: ピロンの護衛ロボット。飛行能力や変身能力など、様々な能力を持っています。
バレス: カストル星の大臣。反乱を起こし、ピロンを殺そうとします。

物語の展開:

物語は、ピロンとミラが地球に逃れてきたところから始まります。彼らは昭男と鉄男と出会い、友情を育みます。しかし、バレスの手下の黒星は次々と現れ、ピロンたちを襲います。昭男と鉄男、そしてピロンとミラは協力して、様々な困難を乗り越えていきます。人食い自動車が登場するなど、独特の展開も特徴です。

幼年版漫画『ピロンちゃん』

『ピロンの秘密』の幼年版として、『幼稚園』と『小学一年生』に連載された『ピロンちゃん』は、より子供向けにアレンジされた内容となっています。手塚治虫が第1話を執筆し、その後は藤子不二雄（藤本弘）が担当しました。

『ピロンちゃん』では、バレス（バラスとして登場）の反乱という設定は簡略化され、ピロンは遊びを通して様々な冒険を経験します。ピロンの兄であるまだら仮面や、ピロンの父親である星の王様といった新しいキャラクターも登場します。

ミラは『小学一年生』版には登場せず、アクションシーンは主にピロンの兄、まだら仮面が担います。

テレビドラマ版

1960年から1961年にかけて、日本テレビで放送されたテレビドラマ版『ピロンの秘密』は、週6日放送される帯ドラマでした。全234回、全39話という長編で、現在、原版の現存は確認されていません。

主なキャスト:

ピロン：ニッキー窪田
本郷昭男：遠藤恵一
ミラ：峰和子

まとめ

『ピロンの秘密』は、宇宙と地球を舞台にした、冒険と友情、そして悪との戦いを描いた作品です。漫画版、幼年版、テレビドラマ版と様々な形で展開され、多くの子供たちを魅了しました。手塚治虫独特の世界観と、テンポの良いストーリー展開は、現代においても新鮮な魅力を放っています。

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