ピース (バラ)

ピース (Peace)

「ピース」は優れた園芸品種として知られるバラの一種で、特にその大きな花と魅力的な色合いが人気です。このバラは、クリームイエローの花弁に薄い桃色が縁取られる特徴を持ち、大輪の八重咲きであり、見ごたえがあります。その名は、第2次世界大戦の終結時期に由来しており、平和の象徴とされています。

概要

ピースは、木立性で半横張りの枝振りを持ち、花径は最大で15センチメートルにも達します。花弁は最大で45枚もあり、香りは中程度で、四季咲きの特性を持っています。栽培が容易な点も評価されており、病害虫への抵抗力が高いとされています。しかし、黄色の色合いは栽培環境によって影響され、日照が不足すると桃色の覆輪が薄くなることがあります。

歴史背景

本品種はフランスの著名なバラ育種家フランシス・メイアンによって育成されました。1937年に800本の中から選抜され、1939年にドイツ、イタリア、アメリカに広まりました。当初、メイアンは母の名前を付けて「マダム・アントワーヌ・メイアン」と呼んでいたが、ドイツでは「グローリア・デイ」（神の栄光）、イタリアでは「ジョイア」（幸福）と名付けられ、大いに評価されました。1945年にアメリカのロバート・パイルがこのバラに「ピース」と名付け、国際連合の初会合において平和の象徴として提唱しました。

このバラは1949年に日本に初めて紹介され、戦後の平和を象徴する存在となりました。当時、バラ展においては多くの人々がその美しさに感動し、特にその繊細な花色が話題を呼びました。ピースは高価な品種であったが、その人気と美しさにより、多くのバラファンに愛され続けています。

特徴と評価

「ピース」は、その外観や香りに加えて、栽培のしやすさからも広く受け入れられています。さらに、左記のような多くの品種改良に貢献した点でも評価されています。ピースは交配親として多くの優良品種を生み出し、現代のバラの系譜において重要な存在です。上田・河合（2014）によると、この品種の導入はバラの改良の歴史において非常に重要な転機であったとされています。

また、多くの受賞歴を持ち、1944年にはポートランド賞、1946年にはAARSの選定花、1976年には世界バラ会議において栄誉の殿堂入りを果たしました。ピースの影響力は計り知れず、その系統からは400種以上の優良品種が誕生しています。特に「ビッグ・マザー」と称されるほどの子孫を持つことから、その交配力の強さも証明されています。

そのため、現在でも多くのバラ愛好者にとって「ピース」は永遠の名花として愛され、育てられ続けています。

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