ピースメーカー (映画)

『ピースメーカー』（The Peacemaker）は、1997年に公開されたアメリカ合衆国のアクション・スリラー映画です。ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマンが主演を務め、スティーヴン・スピルバーグ監督らが設立した映画会社ドリームワークスの記念すべき第1回作品として製作されました。

物語は、ユーゴスラビア紛争下のボスニアで和平派の財務大臣が暗殺される場面から始まります。ほぼ同時刻、ロシアではアレクサンドル・コドロフ将軍が、第一次戦略兵器削減条約（START）に基づき廃棄されるはずだった核弾頭10発を強奪します。彼は列車事故を偽装して核爆弾1つを起爆させ、事件の発覚を遅らせようとしますが、これにより数千人もの命が失われます。

ロシア国内での核爆発を察知したアメリカ政府は、分析の専門家であるジュリア・ケリー博士を召集します。ケリーは爆発が事故ではなく意図的なものであることを見抜き、核弾頭が売却目的で盗まれた可能性を指摘します。陸軍中佐のトーマス・デヴォーは、ロシアの軍人とのコネクションを活かし、コドロフ将軍が核弾頭を盗んだことを突き止めます。ケリーはデヴォーをチームの連絡将校に任命し、二人は協力して事件の真相を追うことになります。

ウィーンでの情報交換で、ケリーとデヴォーは強奪計画に関与しているトラック会社を調査しますが、ヴァーティコフ大佐が殺害されます。怒りに燃えるデヴォーは報復に走り、せっかく入手した書類を失ってしまいますが、ケリーの機転でコドロフがアゼルバイジャンを経由してイランに核弾頭を輸送しようとしていることが判明します。

ケリーのチームは、コドロフの居場所を特定しロシア当局に通報しますが、コドロフは検問を突破します。アメリカ軍は領空侵犯も辞さずロシア領内に突入し、デヴォー率いる特殊部隊がコドロフのトラックを襲撃、核弾頭を確保します。しかし、核弾頭は8つしかなく、残りの1つはボスニア人の過激派の手に渡ったことが判明します。

ボスニアの外交官デューサン・ガブリックは、紛争で妻子を失った過去を持ち、西洋諸国への復讐を企てていました。彼は外交特権を利用して核弾頭をニューヨークに持ち込み、国連本部で核テロを計画します。ケリーはガブリックの計画に気づき、彼を追跡しますが、彼はマンハッタンを移動し始めます。

放射能探知機でガブリックの居場所を突き止めたケリーとデヴォーは、彼を教会に追い詰めます。ガブリックは自爆し、起爆まで残り4分の核爆弾が残されます。ケリーは起爆装置を解除しようと試み、咄嗟の機転で核爆発を防ぐ方法を思いつきます。タイムリミットが迫る中、ケリーは爆弾の外郭の一部を外し、一次爆発を外に逃がすことで核爆発を阻止することに成功します。

事件解決後、ケリーはデヴォーから食事に誘われ、二人は新たな関係を築き始める予感を感じさせながら、物語は幕を閉じます。

この映画は、核テロの脅威と、それを阻止するために奔走する人々の姿を描いたアクション・スリラーとして、公開当時大きな話題を呼びました。手に汗握る展開と、ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマンの迫真の演技が見どころです。

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