ピーター・ガブリエル III

ピーター・ガブリエルの3枚目のソロ・アルバム『ピーター・ガブリエル III』（1980年）は、彼の音楽キャリアにおいて重要な転換期を示す作品として知られています。前作、前々作とアルバムタイトルが同じであるため、『Peter Gabriel 3』、またはジャケットのデザインから『Melt』とも呼ばれています。

実験的なサウンド

このアルバムは、ガブリエルがそれまでのシンフォニックなサウンドから脱却し、より実験的でダークな音楽性を追求した作品です。ドラムの音作りや、シンセサイザーの使用など、新しいアプローチが試みられています。特に、フィル・コリンズが参加した楽曲では、特徴的なドラム・サウンドがアルバム全体の雰囲気を大きく左右しています。

社会的なメッセージ

歌詞の面でも、このアルバムは社会的なテーマを扱ったものが多くなっています。「Intruder」は、家庭内侵入者の視点から犯罪心理を描き、「Games Without Frontiers」は、子供の遊びを戦争のメタファーとして表現しています。そして、「Biko」は、南アフリカのアパルトヘイト政策に抵抗して殺害されたスティーブ・ビコに捧げられた曲で、彼の社会的な意識の高さを表しています。

参加ミュージシャン

このアルバムには、豪華なミュージシャンが参加しています。フィル・コリンズ、ロバート・フリップ、ポール・ウェラー、ケイト・ブッシュなど、各ジャンルを代表するアーティストたちが、ガブリエルの音楽を支えています。彼らの参加が、アルバムの音楽的な幅を広げ、深みを加えています。

収録曲について

Intruder: 侵入者の視点から描かれた楽曲で、不気味な雰囲気が漂います。フィル・コリンズのドラムが印象的です。
No Self Control: 自己抑制の欠如をテーマにした楽曲で、攻撃的なサウンドが特徴です。
Games Without Frontiers: 子供の遊びを戦争のメタファーとして描いた楽曲で、ケイト・ブッシュのボーカルが印象的です。
Biko: アパルトヘイトに抵抗したスティーブ・ビコに捧げられた楽曲で、感動的なメロディーが特徴です。

ジャケット・デザイン

アルバム・ジャケットは、ヒプノシスがデザインしたもので、ガブリエルの顔の右半分が溶けているという衝撃的なイメージが使われています。このジャケットは、アルバムのダークな世界観を表現しており、聴覚だけでなく視覚的にも訴えかける作品となっています。

『ピーター・ガブリエル III』は、ピーター・ガブリエルの音楽キャリアにおける重要な作品であり、彼の音楽的な探求心と社会的な意識の高さを感じることができるでしょう。

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