ピーテル・サウトマン

ピーテル・クラースゾーン・サウトマンは、1593年から1601年の間にハールレムで生まれ、1657年8月16日に同地で没した、17世紀オランダを代表する画家、版画家です。彼は、ハールレムの裕福なビール醸造所を経営する家庭の末っ子として生まれ、経済的に恵まれた環境で育ちました。

サウトマンの画家としての修行は、アントウェルペンでピーテル・パウル・ルーベンスのもとで行われました。美術史家アルノルト・ホウブラーケンの著書によると、1609年から1618年までの期間、サウトマンはルーベンスの工房で働き、ルーベンスの原画を基にした版画制作に携わったとされています。1619年には、アントウェルペンの聖ルカ組合に登録され、翌年にはアントウェルペンの市民権を得ています。この時期の彼の作品には、同時代の画家であるフランス・ハルス、ヘンドリク・ヘリッツゾーン・ポト、ピーテル・クラースゾーンなどの影響が見られます。また、版画の技術はヤーコプ・マータムから学んだと伝えられています。

1620年代には、ポーランド国王ヴワディスワフ4世がアントウェルペンを訪問した際、ルーベンスはサウトマンを優れた画家として紹介したとされています。このことがきっかけとなり、サウトマンは1624年にポーランドへ渡り、宮廷画家として任命されました。ジグムント3世に仕えた後、1628年にハールレムへ帰郷し、1633年にはハールレムの聖ルカ組合の組合長に選出されています。

サウトマンは、肖像画家として確固たる地位を築き、多くの個人肖像画や集団肖像画の依頼を受けました。彼の作品は、写実的で力強い描写が特徴であり、特に集団肖像画においては、各人物の個性を捉えつつ、全体の構図のバランスを保つ高い技術が評価されています。サウトマンの作品は、17世紀オランダの肖像画における重要な位置を占めており、後世の画家たちにも大きな影響を与えました。

サウトマンの生涯は、ルーベンスという巨匠との出会い、ポーランド宮廷での活躍、そして故郷ハールレムでの成功という、波瀾万丈なものでした。彼は、画家としてだけでなく、版画家としても優れた才能を発揮し、後世に多くの作品を残しました。

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