ピートとドラゴン

『ピートとドラゴン』：孤児とドラゴンの心温まる冒険

1977年に公開されたディズニー映画『ピートとドラゴン』は、実写とアニメーションが融合した、独特の世界観を持つ作品です。これまでのディズニー作品が、実写の人物がアニメの世界に入る形式をとっていたのに対し、『ピートとドラゴン』では、アニメーションのキャラクターであるドラゴンが、実写の世界に現れるという新しい試みが行われました。

本作は、当初は1957年にテレビ番組『ディズニーランド』のエピソードとして企画されました。しかし、劇場公開を経て、長らくビデオソフトでのみ視聴可能でしたが、現在ではDisney+をはじめとする各種配信サイトで視聴できるようになっています。ただし、配信サイトによっては、酒場や灯台でのシーンなど、一部がカットされている場合があります。

物語の中心となるのは、孤児の少年ピートと、彼を助ける不思議な能力を持つドラゴン、エリオットです。エリオットは姿を消すことができ、優しい性格で子供たちを助ける存在として描かれています。ピートは、ゴーガンという人物に酷使されていたところをエリオットに助けられ、共に逃避行を繰り広げます。

彼らは、灯台守のランピーとその娘ノラと出会います。頭の回転が速いノラはピートを助け、やがてピートはノラを養親として迎え入れることになります。ランピーの他に、ターミナス博士やその助手ホーギー、ゴーガン家の家長レナとその夫マール、そしてピートを受け入れる学校教師のミス・テイラーなど、様々な人物が物語を彩ります。

映画には、実写とアニメーションの技術が巧みに融合されており、エリオットの生き生きとした表現は、当時の技術力をもってしても、非常に高い水準にあるといえます。少年とドラゴンの友情、そして人間同士の温かい交流を描いたこの作品は、世代を超えて愛される名作となっています。

1987年にはVHSとレーザーディスクが発売され、長らくソフト販売のみで視聴可能でしたが、2004年にはDisney+向けの吹き替え収録が行われ、2005年にはディズニー・チャンネルで初放送されました。この配信版では、一部シーンがカットされているバージョンも存在します。

2016年には、『ピートと秘密の友達』というタイトルで、最新のVFX技術を駆使したリメイク作品が公開されました。オリジナル版の雰囲気を残しつつ、現代的な技術によって、より鮮やかで迫力のある映像が実現されています。

『ピートとドラゴン』は、ディズニー作品の中でも、特にアニメーションと実写の融合において先駆的な作品といえるでしょう。孤児とドラゴンの友情、そして人間社会の温かさや優しさといったテーマは、今もなお多くの人の心に響く、普遍的な魅力を持っています。東京ディズニーランドのエレクトリカルパレードや、ドリーミング・アップ!といったショーにも、エリオットとピートが登場するなど、ディズニーにおいても特別な位置づけにある作品です。

もう一度検索