ファイブ (ふるかわしおりの漫画)

作品概要

『ファイブ』は、漫画家ふるかわしおりが手掛けた少女漫画作品です。集英社の漫画雑誌『別冊マーガレット』にて、2004年から2011年3月号にかけて連載されました。全15巻の単行本が刊行されたほか、キャラクターブックや小説版も発売されています。その後、双葉社より2016年から2017年にかけて新装版全13巻が改めて刊行されました。

本作は高い人気を博し、2016年11月時点で累計発行部数は350万部を超えています。また、物語の続編にあたる『ファイブ+』（ファイブプラス）が、双葉社の『月刊アクション』にて2016年7月号から2023年8月号まで連載されました。

さらに、メディアミックス展開として、2005年にはドラマCD化、そして2017年には実写テレビドラマ化も行われました。

あらすじ

本作の主人公は、両親の転勤に伴い幼い頃から幾度となく転校を繰り返してきた高校生の麻生ひなです。念願叶って、ようやく転校の必要がなくなり、宗瑛学園に入学できることになります。

しかし、宗瑛学園は成績によってクラス分けを行う特殊な学校でした。ひなが配属されたのは、最上位クラスである「特A」。驚くべきことに、その特Aクラスにはひな以外の生徒が全員男子だったのです。周囲に女子が一人もおらず、初日から戸惑いと落ち込みを感じるひな。

そんな彼女の前に現れたのが、学園内で圧倒的な人気を誇る5人組の男子グループ、「メンズ5」です。彼らは皆、容姿端麗で頭脳明晰、喧嘩にも強いことで知られていました。なぜかひなを見込んだ「メンズ5」は、彼女を「姫」と呼び、一方的に「オトモダチ」を宣言します。

こうして、ひなは個性豊かな「メンズ5」のメンバーたちと、彼らを取り巻く生徒会執行部や、アメリカから帰国したトシの幼馴染・真人千和などを巻き込みながら、騒動の絶えない高校生活を送ることになります。他クラスからの妨害や、サバイバル形式の体育祭、くじ引きで目的地を決める遠足など、波乱万丈でありながらも「メンズ5」との刺激的で楽しい日々が始まっていくのでした。

主な登場人物

麻生ひな: 物語の語り部。転校経験から常識をわきまえている反面、負けん気が強く、時には感情を爆発させることも。「メンズ5」からは「姫」と呼ばれ親しまれています。弟の乃浬を溺愛するシスコンならぬブラコン。幼い頃の武術経験から喧嘩も得意ですが、恋愛に関してはかなり鈍感です。料理は苦手ですが、おにぎり作りは天才的な才能を発揮します。

メンズ5: 宗瑛学園の女子生徒から絶大な支持を集めるカリスマ的存在。
清水トシ: 「メンズ5」のリーダー格。成績・容姿ともに学園トップクラス。女子には積極的ですが、ひなに対しては複雑な態度をとります。暗所恐怖症という意外な一面も。
岩淵拓依: 運動神経抜群で、多くのスポーツをこなします。ひなへの好意を素直に表現しますが、彼女とトシの関係を察して身を引きます。料理や裁縫が得意な家庭的な一面を持ち、面倒見の良い兄でもあります。
有沢ナオ: 見た目は可愛らしい少年で、ムードメーカー的存在。裕福な家庭のお坊ちゃま。普段は丁寧な口調ですが、キレると豹変し、驚異的な力を見せます。ひなに想いを寄せています。
矢内小次郎: 剣道部員。冷静沈着で、和の文化を好みます。得意の剣術でひなを助けることも。方向音痴で機械に弱いという弱点も。実家は大きなお寺です。
泰楽ジュン: 特Aクラスの中でも群を抜く天才的な頭脳を持ちます。コンピュータスキルが高く、ハッキングなども行いますが、身体能力は低いようです。「メンズ5」のメンバーとして、ひなへの「トモダチ宣言」をした人物。家族に対しては冷静さを失うこともあります。

生徒会執行部: 学園をまとめますが、「メンズ5」とはしばしば対立します。
山近亨: 会長。「メンズ5」のトシを強く慕うあまり、彼に関心を持ってもらおうと問題を起こすことも。女子からの人気も高いですが、雷が苦手。副会長の中込悦とは複雑ながらも惹かれ合います。
中込悦: 副会長。クールビューティーとして知られますが、山近を想い、たまに慌てたりもします。危険な状況では隠し持った刃物を投げるなど、大胆な一面も持ちます。
中込充: 会計。コンピュータに強く、ジュンとはライバル関係に。小諸佳那と共に行動することが多く、関係を噂されます。
小諸佳那: 書記。空手部主将。小次郎とはライバル関係で、彼と同様に方向音痴。武士のような口調と可愛らしいファッションセンスのギャップが特徴です。

その他にも、ひなの弟の麻生乃浬や、白鶯学院の生徒たち、特Aクラスの個性的な面々、メンズ5や生徒会メンバーの家族など、多くのキャラクターが登場し、物語を彩ります。

メディア展開

漫画連載中にはドラマCDが制作され、主要キャストには人気声優陣が起用されました。そして、2017年にはフジテレビの動画配信サービスFODにて先行配信され、後に地上波でも放送される形で実写テレビドラマ化されました。ドラマでは、若手俳優陣やアイドルグループのメンバーらが主要キャラクターを演じています。

書誌情報

単行本は集英社マーガレットコミックスより全15巻、双葉社アクションコミックスより新装版全13巻、続編『ファイブ+』が双葉社アクションコミックスより全7巻が刊行されています。また、集英社コバルト文庫より小説版、集英社マーガレットコミックスよりキャラクターブックも発売されています。

『ファイブ』は、個性豊かなキャラクターたちが織りなす賑やかで青春感溢れる学園生活と、友情や恋愛、時にはシリアスな展開も交えながら描かれる物語が、多くの読者を惹きつけてやまない人気作品です。

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