ファイブ・イージー・ピーセス

ファイブ・イージー・ピーセス

『ファイブ・イージー・ピーセス』（Five Easy Pieces）は、1970年に公開されたアメリカのドラマ映画で、製作監督はボブ・ラフェルソンが務めました。本作は、アカデミー賞で四部門にノミネートされたことでも知られています。特に、主演のジャック・ニコルソンが演じるボビーのキャラクターは、観客に深い印象を与えました。撮影は1969年11月から1970年1月にかけて行われました。

プロット概要

物語は、石油採掘場で肉体労働者として働くボビーが主人公です。彼は元々、音楽の才能に恵まれた上流階級の家庭に生まれましたが、無気力で普段の生活に埋没し、音楽の道を選ばずにいます。自己嫌悪の中で好きな恋人レイに対しても心を開かず、浮気を繰り返す日々を過ごしています。

物語は、ある渋滞に巻き込まれたときに彼がトラックの上でピアノを弾くシーンから始まります。このシーンは彼の音楽的な背景をほのめかしており、彼が上流社会からドロップアウトしても、内心には音楽への思いがくすぶっていることを示しています。

レイが妊娠したことを知ったボビーは、結婚の責任を感じることなく、勝手に家を飛び出します。彼は久しぶりに妹のティタを訪ね、父親が重病であることを告げられます。彼は職場の同僚エルトンから責任を取るべきだと諭されるものの、全く心に響くことはありませんでした。最終的にボビーは仕事を辞め、レイを連れて故郷に帰ることを決意します。

家族との再会

故郷へ向かう途中、ボビーとレイは二人のヒッピーに出会い、アラスカに移住する計画を聞きます。ボビーはレイを一時的にモーテルに残し、一人で実家に向かいます。厳かな空気の中、彼の家族は彼を温かく迎え入れます。また、彼は兄のカールの恋人キャサリンに一目惚れし、彼女との恋が新たな葛藤を生むことになります。

数日後、放置されていたレイが自分の意に反して家に訪れ、風紀を乱します。ボビーはその行動に苛立ちを感じます。さらに、父親の介護人と姉の不倫を目撃し、ボビーは激怒しますが、反撃に遭い屈辱を味わいます。翌日、ボビーは車椅子の父親に対して「俺がいると不幸になるから、逃げ出そうとするだけだ」と涙ながらに告白します。この場面は、彼の内面的な苦悩を象徴しています。

物語の結末

最終的に、ボビーはレイと共に家から出発しますが、ガソリンスタンドに寄った際、偶然見つけたトレーラーの運転手に加えてもらうことを打診します。ボビーはレイに何も告げずに去って行き、彼の姿はその後思い出として残ります。

『ファイブ・イージー・ピーセス』は、自己探求や人間関係の複雑さを描いた名作として、多くの人々に語り継がれています。自由を追求することと責任を感じることの間で揺れ動くボビーの姿は、多くの観客に共感を呼び起こすことでしょう。

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