ファクトイド

ファクトイドとは

ファクトイド（factoid）とは、一般的には虚偽の主張や誤解された事実を指す言葉であるが、短いニュースや情報の中には、事実であるにもかかわらずファクトイドと呼ばれることもある。もともとは1973年、アメリカの作家ノーマン・メイラーによって造語され、事実として受け入れられているものの実際は真実でない情報を指した。

ファクトイドの語源と発展

ノーマン・メイラーは、ファクトイドを「雑誌や新聞に現れる前にはまったく存在していなかった事実」と定義した。その語根は「事実」を意味する英語の“fact”と、「似ているが同じではない」を意味する接尾辞“ -oid”が組み合わさったものである。これは、見かけ上は事実のように見えるけれども、その実体は虚偽であるというニュアンスを持つ。

メイラーの言葉は、『ワシントン・タイムズ』において「事実のように見え、実際には事実ではないもの」として説明されている。以降、この概念は多くの誤解や都市伝説を生じさせる要因となっている。

定義の変遷と多様な使い方

ファクトイドは、誕生から数十年経つ中で様々な意味を持つようになった。例えば、『オクスフォード英語辞典』は次のように定義している。

• - 短い、あるいは取るに足りない情報
• - 繰り返し唱えられることで事実として認識される不確実な情報

また、ウィリアム・サファイアは1993年に異なる側面のファクトイドを区別し、以下のように説明している。

• - 批判的な観点：偽装された事実や信頼性のない統計データ
• - 中立的な観点：一見事実に見えるが実際はそうでない可能性もあるもの
• - CNNの用法：あまり知られていないけれども興味深いデータ

特にファクトイドの3つ目の定義は、CNNのテレビプログラム「ヘッドラインニュース」での使用が広まったもので、1980年代から1990年代にかけてファクトイドというタイトルで提供された事実紹介によって広まった。

ファクトレットとの違い

英語の語法や用語ガイドには、ファクトイドという言葉を避けるべきだと提唱するものも存在する。ウィリアム・サファイアは「豆知識的な情報」にはファクトレット（factlet）を用いるべきだと述べている。ファクトレットはファクトイドよりも肯定的な意味合いを持ち、重要ではないが興味深い情報を指す用語として推奨された。サファイアの提案は、ファクトイドという言葉が持つ誤解を緩和するための試みとも言える。

結論

ファクトイドは、当初の意味から派生し、様々な文脈で用いられるようになった言葉である。その意味は、見かけ上の真実を覆った多様さをもつがゆえに、今なお言葉としての混乱を生じさせ続けている。私たちが情報を受け取る際には、その情報の信憑性をしっかりと見極めることが求められている。

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