ファツィオリ

ファツィオリ・ピアノフォルティ：イタリアが生んだ至高の響き

1981年、イタリアで創業したファツィオリ社は、世界最高峰のグランドピアノメーカーとして知られています。創業者のパオロ・ファツィオリ氏は、家具職人の家庭に生まれ、音楽の素養を活かし、熟練の技術者たちと共に、理想のピアノを追求しました。

妥協なき職人技と革新的な技術

ファツィオリピアノは、その製造工程において、徹底した手作業と最新の技術が融合しています。

響板

ピアノの音質を決定づける響板には、厳選されたフィエンメ峡谷産のレッドスプルースを使用。完成後には2年間、厳格な環境管理下で熟成させることで、最高の状態に調整されます。

ハンマーのフェルト

多くのメーカーが機械による大量生産を採用する中、ファツィオリでは熟練の職人が、硬化剤を使用しない伝統的な手法でハンマーのフェルトを手作業で製作。これにより、比類のない弾力性と繊細な表現力を実現しています。

フレームの鋳造

ピアノ内部の鉄製フレームは、近代的な真空吸引法ではなく、伝統的な鋳造方法を用いて、時間をかけて丁寧に製作。これは、短時間での大量生産を犠牲にしても、音質へのこだわりを反映したものです。

可変式ブリッジによる倍音の調律

ファツィオリは、各音のブリッジを独立して調整できる独自の独立アリコート方式を採用。これにより、倍音の豊かさを自在にコントロールし、繊細で奥行きのある音色を実現しています。

駒の材質の使い分け

音域ごとに異なる硬度の木材（カエデ、シデ、ツゲ）を使用し、熟練の職人の手作業によって仕上げられた駒は、各音の響きを最適化しています。

4番ペダル

ファツィオリの最大の特徴と言えるのが、特許取得済みの4番ペダルです。このペダルは、ハンマーと弦の距離を調整し、音量を変化させることなくピアニッシモを可能にします。速いパッセージやグリッサンドにも効果を発揮し、ピアニストの表現力を最大限に引き出します。F308モデルでは標準装備、他の機種ではオプションとなっています。

金属部品のメッキ

ファツィオリでは、金属部品に金メッキを施すことで、防錆性と美観を高めています。

世界が認める品質

ファツィオリピアノは、その卓越した音質と演奏性から、世界中の著名なピアニストや音楽機関から高い評価を得ています。ジュリアード音楽院への納入も開始され、数々の国際ピアノコンクールでも公式ピアノとして採用されています。ショパン国際ピアノコンクール、ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、シドニー国際ピアノコンクールなど、多くのコンクールで上位入賞者がファツィオリを選んでいます。また、全日程をファツィオリで実施するコンクールも増加傾向にあります。Boris Giltburg氏によるベートーヴェンソナタ全集の演奏も、ファツィオリピアノで行われました。

モデルとサイズ

ファツィオリ社は、F156、F183、F212、F228、F278、F308の6種類のグランドピアノを製造しています。モデル名に続く数字は、ピアノの奥行き（cm）を表しています。

まとめ

ファツィオリ・ピアノフォルティは、伝統的な技術と革新的なアイデアの融合によって生まれた、まさに芸術作品と言えるピアノです。その圧倒的な音質と演奏性は、世界中の音楽家を魅了し続けています。今後も、ピアノ界におけるその存在感はますます大きくなっていくでしょう。

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