ファトミル・セイディウ

ファトミル・セイディウは、コソボの政治において重要な役割を果たした人物です。彼はコソボ民主同盟の党首として、またコソボの大統領および議会議長として、コソボの政治を主導しました。さらに、2001年のコソボ暫定憲法の制定にも深く関わっています。

生い立ちと教育

1953年10月23日、当時のユーゴスラビア社会主義連邦共和国に属するコソボ・メトヒヤ自治州のポドゥイェヴァ市パカシュティツァで生まれました。彼は1974年にプリシュティナ大学の法学部を卒業し、同大学で博士号を取得。その後、プリシュティナ大学の教授として議会政治を教えました。アルバニア語、セルビア語、英語、フランス語に堪能です。

政治家としての活動

セイディウは長年にわたり、セルビアによるコソボ統治に抵抗してきました。コソボ紛争が激化し、1999年にNATOが介入してセルビアが排除された後、国際連合の暫定統治下で初代大統領にイブラヒム・ルゴヴァが選出されました。セイディウはルゴヴァの後継者として、2006年にコソボ民主連盟の党首となり、コソボの大統領に選出されました。

彼はルゴヴァが率いたコソボ民主連盟の有力な政治家であり、ルゴヴァの死後、その地位を引き継ぎました。国際連合が推進する基準や多民族社会の実現に尽力したことで、国際社会からも支持を得ました。2006年には、ウィーンで開かれたコソボ地位プロセスの会合にコソボ側の代表として参加し、セルビアの大統領および首相と直接対談しています。

2008年1月9日、セイディウは大統領職を一旦辞任し、同日に行われた大統領選挙に立候補しました。その結果、再選を果たし、2008年に制定された新憲法の下で、再選制限のない大統領職に就任することが決定しました。しかし、2010年9月27日、コソボ憲法裁判所がコソボ民主連盟の党首と大統領の兼任は憲法に違反するという判断を下したため、大統領を辞任しました。

2010年11月には、コソボ民主連盟の党首選挙でイーサ・ムスタファに敗れ、党首の座からも退きました。セイディウの政治家としての道のりは、コソボの独立と安定に貢献した一方で、憲法上の問題や党内での権力闘争など、多くの課題に直面したものでした。

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