ファニー・ガール

映画『ファニー・ガール』解説

『ファニー・ガール』（Funny Girl）は、1968年に公開されたアメリカのミュージカル映画です。1964年にブロードウェイで初演された同名ミュージカルを映画化した作品で、喜劇女優ファニー・ブライスの波瀾万丈な半生を描いています。監督はウィリアム・ワイラー、主演はバーブラ・ストライサンドで、彼女の映画デビュー作としても知られています。

あらすじ

物語は、第一次世界大戦前のニューヨークを舞台に、舞台女優を目指すファニー・ブライスの奮闘と、実業家でギャンブラーのニック・アーンスティンとの愛を描いています。ヴォードヴィルの舞台でキャリアをスタートさせたファニーは、その才能とユーモアで次第に人気を集め、「ジーグフェルド・フォリーズ」のスターへと上り詰めます。しかし、ニックとの結婚生活は、彼の事業の失敗やギャンブル癖によって次第に破綻していきます。それでもファニーは、愛するニックを支えようとしますが、最終的には別れを選択します。傷心の中、ファニーは再び舞台に立ち、「私は永遠に彼のもの」と歌い上げます。

作品の魅力

バーブラ・ストライサンドの圧倒的な歌唱力と演技力：本作で映画デビューを飾ったストライサンドは、その歌唱力と演技力でファニー・ブライスを見事に演じきり、アカデミー主演女優賞を受賞しました。特に、「ピープル」「ドント・レイン・オン・マイ・パレード」「マイ・マン」などの楽曲は、彼女の代表作として知られています。
ファニー・ブライスの波瀾万丈な人生：容姿に恵まれないながらも、自分の才能を信じて夢を追い続けるファニーの姿は、多くの人々に勇気を与えます。また、ニックとの愛と葛藤は、観る者の心を揺さぶります。
豪華なミュージカルシーン：「ジーグフェルド・フォリーズ」の華やかな舞台や、ファニーのコミカルな演技など、ミュージカルシーンも見どころ満載です。

制作の背景

舞台版『ファニー・ガール』は、ファニー・ブライスの義理の息子であるレイ・スタークがプロデュースしました。スタークは、映画化にあたってもストライサンドの主演を強く希望し、コロンビア・ピクチャーズの重役たちとの交渉の末、彼女の起用にこぎつけました。監督には、当初シドニー・ルメットが予定されていましたが、方向性の違いから降板し、ウィリアム・ワイラーが後を引き継ぎました。

キャスト

ファニー・ブライス：バーブラ・ストライサンド（吹替：高島礼子）
ニック・アーンスティン：オマー・シャリフ（吹替：堀勝之祐）
ローズ・ブライス（ファニーの母）：ケイ・メドフォード
エディ・ライアン：ウォルター・ピジョン
フローレンツ・ジーグフェルド：ウィリアム・ワイラー

受賞歴

アカデミー主演女優賞（バーブラ・ストライサンド）
ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)（バーブラ・ストライサンド）

評価と影響

『ファニー・ガール』は、公開当時から批評的にも商業的にも大きな成功を収め、ストライサンドは一躍スターダムにのし上がりました。映画は、アメリカン・フィルム・インスティチュート（AFI）によって「ミュージカル映画ベスト」の第16位に選ばれるなど、映画史に残る名作として高く評価されています。また、ストライサンドが劇中で発する「ハロー、ゴージャス」という台詞は、アメリカ映画の名台詞ベスト100にも選ばれています。

続編

1975年には、続編『ファニー・レディ』が公開されました。ストライサンドが再びファニー・ブライス役を演じ、ビリー・ローズとの結婚生活を描いています。

まとめ

映画『ファニー・ガール』は、バーブラ・ストライサンドの才能が光る、感動的なミュージカルドラマです。ファニー・ブライスの波瀾万丈な人生と愛を描き、多くの人々に勇気と感動を与えた作品として、今もなお愛され続けています。

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