ファミール

ファミール（Famil）

ファミール（Famil）は、かつてセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン&アイ・フードシステムズが展開していたファミリーレストランのブランドです。このレストランチェーンは1972年に創業し、2007年に営業を終了するまで、多くの人々に親しまれていました。

1. 創業の背景

ファミールは、1972年11月21日に株式会社ヨークフードサービスとして設立されました。これは、イトーヨーカ堂グループの外食部門の一環であり、同年には千葉県松戸市のイトーヨーカドー五香店にファミールの1号店をオープンしました。また、1973年にはデニーズジャパンも設立され、同社が展開するデニーズの1号店もイトーヨーカドー内に出店されました。

2. 業態の展開

ファミールは、主にイトーヨーカドーの店舗内に出店しており、ファーストフードの「ポッポ」と差別化を図りました。独立した店舗として、定番の洋食メニューのほか、和食や和膳のオプションも提供し、多様な顧客ニーズに応えました。特に、1979年からは社員食堂の運営を受託し、ケータリング業務にも進出しました。その後、1981年には商号を株式会社ファミールに変更し、業務を拡大しました。

3. デニーズとの競合

1980年代には、デニーズジャパンが独自メニューの展開を始めたことにより、ファミールとデニーズの間で競争が激化しました。特に、和食や日本風の洋食メニューの充実が顧客の支持を得る要因となり、両者の店舗が近接する地域で競合することになりました。最盛期には約180店舗を展開しましたが、1990年代のバブル崩壊により業界全体が厳しい状況となり、ファミールは郊外型店舗から撤退し、イトーヨーカドー内の店舗へと戦略を転換しました。

4. 新業態の模索

ファミールは1994年以降、新たな業態の展開を試み、ラーメン店やイタリア料理店、ビュッフェ形式の店舗など、消費者のニーズに応じた新メニューに挑戦しました。さらに、ドリンクバーやデザートバーの導入によって、地域の需要に応える努力を続けました。

5. セブン&アイ・フードシステムズへの統合

2005年にはセブン&アイ・ホールディングスが設立され、外食部門が再編されました。2007年にはファミールを含む数社が吸収合併され、新たな運営体制が整いました。その後もファミールブランドは存続していましたが、業績は厳しい状況が続きました。

6. 閉店の経緯

営業を続けていたファミール店舗も、イトーヨーカ堂の業績悪化や顧客ニーズの変化に伴い、2007年には116店舗から2018年には31店舗に減少しました。そして2019年には全店閉店に至り、現在ではファミールブランドとして残っているのは、コントラクト事業の一環としての店舗のみとなっています。特に、閉店後は他の飲食店チェーンが跡地に出店する事例が多くなり、ファミールの店舗だった場所は次第に姿を変えていきました。

7. 結論

ファミールは、イトーヨーカ堂的な居場所を提供するファミリーレストランとして、多くの人々に愛されましたが、時代の移り変わりとともに廃れていく運命を辿りました。これからも日本のファミリーレストラン業界は変化を続けていくことでしょう。

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