ファンテール体

ファンテール体は、一般的なゴシック体（タイポス系書体）とは異なり、コントラストが反転しているようなデザインが特徴的な書体です。具体的には、明朝体などに見られる縦線の太さ、横線の細さという関係が逆転し、縦線が細く、横線が太くなっています。

ファンテール（Fantail）という名前は、直訳すると「扇状の尾」を意味し、これは英語で孔雀鳩を指す言葉でもあります。書体の形状が、扇を広げたような尾の形を連想させることから、この名が付けられたと考えられます。

歴史

ファンテール体という名称を持つ書体は、欧文書体にも存在していました。例えば、Mackellar, Smiths & Jordan社が製作した「Fantail」という書体があります。日本においては、明治時代に東京築地活版製造所が「フワンテール形」という和文書体を開発しました。

その後、1938年には、写研が地図の表題用文字として、細めのファンテール体である「石井ファンテール」を製作しました。さらに1981年には、写研自身のロゴタイプを基に、太めのファンテール体である「ファン蘭B」を開発しています。

フォント一覧

ファンテール体には、様々な種類が存在します。以下に代表的なフォントをいくつか紹介します。

商用フォント:

C&Gブーケ (C&Gシステムズ)
DF雅藝体 (ダイナコムウェア)
FCウェブライン (富士通ミドルウェア)
雪ファンテール

無料フォント:

雪ファンテールLite
兜町16

ファンテール体は、その独特なデザインから、年賀状、地図の表題、広告、企業ロゴなど、幅広い用途で使用されています。特に、他とは異なる個性的な印象を与えたい場合に効果的です。古くは任天堂のロゴにも使用されていました。

参考情報

* ゴナ、ナールの作者の中村征宏さん✕フォントダス対談 Fontdasu（外部リンク参照）

ファンテール体は、デザインの歴史や多様なフォントの種類を知ることで、さらに深く理解し、活用することができます。その独特な美しさを、ぜひあなたのデザインに取り入れてみてください。

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