ファンフェア

ファンフェア（T-Mk 6 Fanfare）の概要

ファンフェアは、アメリカ合衆国が開発した対魚雷用の曳航型ソナーデコイで、主に1950年代から1960年代にかけてアメリカ海軍に配備されました。このシステムの開発には、第二次世界大戦における対魚雷戦の進展が大きく影響しています。

歴史的背景

第二次世界大戦中、ドイツ海軍はG7魚雷の音響ホーミング版であるT-5を実戦投入しました。この新技術に対抗する形で、連合国は曳航型デコイ「フォクサー」を配備しました。このデコイは、音響魚雷に対抗するための初の防御システムとなりました。

その後、フォクサーの後継としてハープが開発され、さらに1950年代から1960年代にかけてアメリカ海軍はファンフェアを導入しました。この新しいシステムは、先行するハープの技術を基盤にしつつ、より効果的な対魚雷防御能力を持っていました。

技術的特徴

ファンフェアはその基本的な構造として、2基の曳航体を備えています。これにより、魚雷によっては1基が破壊された場合でも、もう1基を即座に投入することで防御効果を維持します。この設計は、実戦での柔軟な対応を可能にし、防御能力の向上に寄与しました。

また、ファンフェアは、海上自衛隊によっても採用され、国産化が進められました。海上自衛隊では、ハープの後にこのデコイを導入し、曳航具3型として運用しています。国産モデルは電動式の発音体を備えており、音響の発生停止をソナー室の管制器で行うことができました。これにより、操作性や信頼性が向上し、より効率的な使用が可能となりました。

現在の使用状況

ファンフェアは、アメリカ海軍だけでなく、同盟国の艦艇でも広く使用されました。長い間その役割を果たしてきましたが、後継としてAN/SLQ-25|AN_SLQ-25シリーズと混同されることもあります。SLQ-25と同様の機能を持つファンフェアは、その対魚雷防御能力において高い評価を得ています。

参考文献

本システムに関する詳細な情報は、以下の文献に掲載されています。これらの資料は、ファンフェアの開発背景や運用状況について、より深く理解するために役立つでしょう。

• - Friedman, Norman (1997). The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998. Naval Institute Press.
• - Polmar, Norman; Whitman, Edward (2016). Hunters and Killers: Anti-Submarine Warfare from 1943. Naval Institute Press.
• - 高須廣一『兵装 (海上自衛隊護衛艦史1953-2000)』『世界の艦船』第571号、海人社、2000年7月。
• - 多田智彦「現代の艦載兵器(第20回)対魚雷防御システム」『世界の艦船』第953号、海人社、2021年8月。

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