ファーストレディになろう

ファーストレディになろう (太田裕美の楽曲)

「ファーストレディになろう」は、日本のシンガーソングライターである太田裕美によって、1996年3月にリリースされたシングル作品です。この楽曲は、当時の彼女の音楽活動における一つの節目を彩る楽曲として位置づけられています。

このシングル作品が特に広く知られることとなった背景には、タイアップがありました。本作は、大手化粧品メーカー、メナード化粧品の1996年キャンペーンのイメージソングとして採用されました。テレビコマーシャルでは、この楽曲が使用されたのですが、その際にユニークな変更が加えられています。原曲のタイトル及び歌詞に含まれる「ファーストレディ」というフレーズの部分が、CMでは企業のブランド名を冠した「メナードレディ」という言葉に置き換えられて放送されたのです。このような形で楽曲が企業の広告に使用されたことは、多くの人々に曲の存在を知らせるきっかけとなりました。

本シングルCDには、表題曲である「ファーストレディになろう」の他に、カップリング曲として「ベロアの秘密」が収録されています。さらに、歌唱抜きのカラオケバージョンも収められており、合計3トラックで構成されています。これらの収録曲の制作には、それぞれ異なった、あるいは共通の著名なクリエイターたちが名を連ねています。

表題曲「ファーストレディになろう」の作詞は奥山六九氏が手掛けました。作曲は、アコースティックギターデュオとして独自の音楽世界を確立しているGONTITIが担当しています。そして、楽曲全体のサウンドを構築する編曲は、幅広いジャンルで活躍する音楽プロデューサー兼アレンジャーの羽毛田丈史氏が担当しました。GONTITIによる叙情的ともいえるメロディーに、羽毛田丈史氏による洗練されたオーケストレーションやサウンドメイクが加わることで、楽曲の持つ魅力が引き出されています。

カップリング曲として収録された「ベロアの秘密」は、太田裕美自身が作詞を担当した楽曲です。彼女自身の言葉で綴られた歌詞は、リスナーに親密な世界観を届けます。作曲は「ファーストレディになろう」と同じくGONTITIが担当し、編曲も羽毛田丈史氏が手掛けています。表題曲と同様の作曲・編曲陣による制作ですが、作詞者が異なることで、楽曲の雰囲気やテーマにおいて独自のカラーが打ち出されていると考えられます。

これらの楽曲は、本シングルのリリース以降も、太田裕美の主要な楽曲として扱われています。彼女のベストアルバムやコンピレーションアルバムに収録される機会が多く、例えば『GOLDEN J-POP/THE BEST 太田裕美|GOLDEN J-POP_THE BEST 太田裕美』や、『GOLDEN☆BEST 太田裕美 コンプリート・シングル・コレクション』といったアルバムで、現在でもこれらの楽曲を聴くことができます。これらのアルバムに収録されていることは、「ファーストレディになろう」や「ベロアの秘密」が、太田裕美の豊富なディスコグラフィーの中でも、特にファンの間で認知され、重要視されている楽曲であることを示しています。

また、本シングルが発表された1996年という年は、日本のポピュラー音楽が多様な進化を遂げていた時期にあたります。多くのアーティストが個性的な作品を発表し、音楽シーンが活況を呈していました。「ファーストレディになろう」も、そうした1996年の音楽の一つの例として、その時代のサウンドやムーブメントの一部を形成した楽曲と言えるでしょう。

このように、「ファーストレディになろう」は、太田裕美のキャリアにおける1996年のシングル作品として、タイアップによるCMでの露出、著名な音楽家たちによる制作、そして後のベストアルバムへの収録など、多角的な側面を持つ楽曲です。その存在は、発表当時の状況を知る上で、また太田裕美の音楽を深く知る上で、欠かせない情報を提供しています。

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