ファーンバラ男爵

ファーンバラ男爵位：栄光と短い歴史

連合王国貴族の爵位の一つであるファーンバラ男爵位は、歴史において特異な経緯を辿った爵位として知られています。この爵位は、実に2度も創設され、そして2度とも初代当主の死によって廃絶するという、短いながらも興味深い歴史を持っています。

初代ファーンバラ男爵 チャールズ・ロング (1760年-1838年)

最初のファーンバラ男爵位は、1826年7月8日に創設されました。初代に叙せられたのは、チャールズ・ロングという人物です。ロングは、イギリスのトーリー党に所属した政治家でした。彼は庶民院議員として活躍し、枢密顧問官、アイルランド担当次官、陸軍支払長官といった要職を歴任した人物でした。ケント州ブロムリー・ヒル・プレイスを拠点に活動した彼は、ファーンバラ男爵に叙せられる栄誉に浴したのです。しかしながら、ロングは後継者を残すことなく1838年1月17日に死去し、爵位は一代で途絶えました。

初代ファーンバラ男爵 トマス・アースキン・メイ (1815年-1886年)

それからおよそ50年後、1886年5月11日、再びファーンバラ男爵位が創設されました。2代目の初代ファーンバラ男爵に叙せられたのは、憲法学者として名高いトマス・アースキン・メイです。メイは、庶民院書記官を務め、『議会の法、特権、手続と慣習に関する論』という重要な著作を残した人物でした。サウサンプトン州ファーンバラを拠点に活動していた彼が、ファーンバラ男爵に叙せられたのです。しかし、彼の爵位保有期間は驚くほど短く、叙爵からわずか7日後の1886年5月17日に死去。この爵位もまた、一代で廃絶しました。

7日間の爵位

メイの爵位は、爵位創設から廃絶までわずか7日間しか存在しませんでした。これは、イギリス貴族の歴史において非常に珍しい事例です。記録上、1日で廃絶したレイトン男爵位（1896年）に次いで2番目に短い期間です。このように、ファーンバラ男爵位は、その短い存続期間と、著名な人物を初代に迎えたという事実から、英国貴族史において特異な存在として記憶されています。

まとめ

ファーンバラ男爵位は、2人の著名な人物によって短く輝いた爵位でした。チャールズ・ロングとトマス・アースキン・メイ、両名とも政治・法律の分野で大きな功績を残した人物であり、それぞれの立場でイギリス社会に貢献したことは間違いありません。しかし、爵位は彼らと共に短く終焉を迎えたのです。この短い歴史は、栄光と儚さの両面を物語る、興味深い歴史となっています。

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