フアン・マルティネス・モンタニェース

フアン・マルティネス・モンタニェース

フアン・マルティネス・モンタニェース（1568年3月16日 - 1649年6月18日）は、スペインの彫刻家で、特に木彫りにおいて高い評価を受けています。彼は「木の神」という異名を持ちながら、主にセビリアで活動し、宗教的なテーマを持つ作品を多数制作しました。

略歴

モンタニェースはアルカラ・ラ・レアルという町で生まれましたが、幼少期にグラナダに家族と共に移り住みます。そこで、著名な彫刻家であるパブロ・デ・ロハスのもとで彫刻の技術を学び、この時期に彼の基礎が築かれました。1609年にセビリアへ移った彼は、次第にその名を馳せ、活発に仕事を行うようになりました。彼の工房は多くの弟子を持ち、生徒たちに技術や思想を伝えました。

1636年には、スペイン王フェリペ4世からマドリードに招かれ、王の胸像の制作を依頼されます。この作品の完成にあたって、当時の宮廷画家であるディエゴ・ベラスケスと親しくなり、彼がモンタニェースの肖像画を描いたことは特筆すべきエピソードです。その後、フェリペ4世の胸像は、フィレンツェの彫刻家ピエトロ・タッカに送られ、マドリードのオリエンテ広場に設置される銅像の基となりました。

モンタニェースの作品はセビリア大聖堂や近隣の教会向けに制作された多くの聖人像で知られており、これらはスペインの伝統的なスタイルを反映しています。彼の木彫りの作品は、金箔で装飾され、鮮やかな色彩が施されることで、非常に美しく仕上げられていました。そのため、彼は当時の宗教芸術に多大な影響を与えました。

師であるパブロ・デ・ロハスのスタイルを受け継ぎつつも、自らの独自の技術を確立し、弟子たちがその後の世代にその技術を引き継ぐことを促しました。特に、息子のアロンソ・マルチネスや他の弟子であるフアン・デ・メサは、彼の影響を受けた重要な彫刻家として後に知られるようになります。

作品

モンタニェースの作品は、多くの教会で見ることができ、特に宗教的なテーマを持つ像が多く、その表現は力強さと深い精神性を兼ね備えています。彼の技術は、彫刻の細部にまで注意が払われており、例えば衣服のしわや姿勢、表情に至るまで非常に精緻に表現されています。これらの作品は、彼の独自のスタイルと深い宗教的な信念を反映しています。

参考文献

モンタニェースの研究や彼の作品に関する資料は、多数の文献に記載されています。特に、José Hernández Díazによる『Juan Martínez Montañés (1568—1649)』や、エンサイクロペディア・ブリタニカの編集による記事などが挙げられます。彼の作品とその影響を理解するためには、これらの文献が非常に有用です。

もう一度検索