フィジー植民地

フィジー植民地（英語: Colony of Fiji）は、現在のフィジー共和国にあたる地域に存在したイギリスの直轄植民地です。

イギリスによる植民地化の背景

19世紀、フィジーはセル・エペニサ・ザコンバウが治めるフィジー王国として存在していました。当初、イギリスは1852年にフィジー王国を併合する機会を拒否しましたが、ザコンバウ国王は、度重なる部族間抗争や経済的な困窮から、イギリスに保護を求めるようになりました。

ザコンバウは、トゥイ・ヴィティ（フィジー国王）の称号を保持することを条件に、島々の割譲を提案しましたが、イギリス側の条件と合わず、一旦は交渉が決裂しました。しかし、ザコンバウは1871年にオーストラリアとの間で借金返済の合意をし、ヨーロッパ人入植者が多数を占める立憲君主制の政府を樹立しました。しかし、この新政府は長くは続かず、崩壊の危機に瀕したため、ザコンバウは再びイギリスに割譲を要求しました。

イギリスは、戦略的な重要性や、他の列強によるフィジー占領を防ぐという目的から、この要求を受け入れました。1874年10月10日、フィジーは正式にイギリスの植民地となり、以後約100年間、イギリスの統治下に置かれることになりました。

植民地時代のフィジー

イギリスの統治下、フィジーではプランテーション農業が発展し、サトウキビ栽培が主要な産業となりました。労働力不足を補うため、インドから多くの年季契約労働者が導入され、現在のフィジーにおけるインド系住民のルーツとなりました。

イギリスは、フィジーの伝統的な社会構造をある程度維持しつつ、間接統治を行いました。しかし、土地制度や税制の変更、キリスト教の普及などにより、フィジー社会は大きく変容しました。

独立

第二次世界大戦後、世界的な脱植民地化の潮流を受け、フィジーでも独立運動が高まりました。1970年10月10日、フィジーはイギリスから独立し、主権国家となりました。

植民地時代の遺産

フィジー植民地時代は、フィジーの政治、経済、社会、文化に大きな影響を与えました。英語が公用語の一つとなり、イギリス式の教育制度や法制度が導入されました。また、インド系住民の存在は、フィジーの多文化社会を形成する上で重要な要素となっています。

フィジーの歴史を理解する上で、植民地時代は欠かすことのできない重要な時代です。

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