フィナンシャル・タイムズ

フィナンシャル・タイムズについて

『フィナンシャル・タイムズ』（Financial Times、FT）は、イギリス発の経済専門紙で、言わずと知れた重要なメディアです。その特徴的なサーモンピンクの紙面は、読者にとって一目でFTを識別できる要素となっています。元々は複合メディア企業ピアソンの一部として運営されていましたが、2015年に日本経済新聞社に買収され、現在はその傘下にあります。

歴史

1888年に資本家のホレイショ・ボトムリーによって創刊されたFTは、当初「London Financial Guide」という名称でした。しかし、創刊からわずか1か月後に現在の名前に改名されました。その目的は「正直な資本家と上品なブローカーの友」を目指し、金融分野の専門家を主なターゲットにした報道を展開しました。初期のころ、FTは競合として『Financial News』に直面していましたが、精度と信頼性を重視したアプローチで差別化を図りました。

こうした背景の中で、1945年には競合の『Financial News』と合併。FTはその名を残し、読者層を広げる結果となりました。経済の国際化の進行に伴い、FTは世界中の大都市に支局を設けるようになり、1979年にはフランクフルトで初の国外版を発行。この動きが、FTを単なるイギリスの経済紙から国際的な経済メディアへと進化させました。

現在では22都市で発行され、主にヨーロッパ、アメリカ、アジアの3つの地域版が存在します。特にヨーロッパ版は、高い情報力により企業や政府機関から重視されています。アメリカ版も、多くの都市で発行されており、現在の年間発行部数は125,104部に達しています。2000年以降は、国内の発行部数よりも国際的な発行部数の方が多くなるという逆転現象が観測されており、FTはグローバルなメディアとしての地位を確立させました。

特に2019年には、有料購読者数が100万人を超えるという大きな節目を迎えました。11月には、長年ぶりに編集長が変わり、初の女性編集長が就任することが発表されました。

紙面内容

FTの紙面は、基本的に社会・政治関連と経済関連のニュースに分かれています。特に後者の経済・金融情報は重点的に扱われており、多くの企業や市場の情報が掲載されています。また、海外での報道も充実しており、世界中に駐在する記者が475人中110人を占めています。

FTには特定の政治的立場はなく、表向きは中道の立場を貫いていますが、欧州連合の拡大には肯定的です。しかし、アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』に比べると、比較的左側に位置していることが指摘されています。サッチャー政権時代にはその支持メディアとして知られていましたが、現在では労働党寄りの姿勢を見せています。

メディアグループと不祥事

親会社のピアソンは、FT以外にも『エコノミスト』を保有していましたが、売却を進め、FTもその後、独立した経営をもつようになりました。FTグループはフランスの『レ・ゼコー』を子会社に持つなど、グローバルな情報ネットワークを形成しています。
ただし、過去にはNTTの株価が連続して誤って記載されるなどのミスもあり、メディアの責任が問われることもありました。

以上のように、『フィナンシャル・タイムズ』はその長い歴史と国際的な影響力を持つ経済紙として、今日も多くの読者に信頼され続けています。

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