フィルムリーダー

フィルムリーダー：映画フィルムの始まりと終わり

映画フィルムには、本編映像の前後に映像が記録されていない部分が存在します。これをフィルムリーダーと呼びます。映写機でフィルムをスムーズに再生するために不可欠な存在です。

ヘッドリーダーとテールリーダー

フィルムリーダーは、主に先頭部分のヘッドリーダーと、末尾部分のテールリーダー（フットリーダーとも呼ばれる）に分けられます。ヘッドリーダーには、フィルムの再生速度を確認するための情報が記録されています。

フィルムリーダーの種類

フィルムリーダーには様々な種類があり、その用途は多岐に渡ります。

ペイントリーダー: 色付きのフィルムで、本編映像などを保護する役割を担います。
フィルリーダー: 磁気オーディオフィルムのセクションを同期させるためのスペース確保に使用されます。過去に撮影されたフィルムの未使用部分を再利用することが多いです。
* ユニバーサルフィルムリーダー: 劇場上映用のヘッドリーダーで、タイトル、スタジオ名、技術情報などが含まれます。

カウントダウン表示：映写準備の指標

ヘッドリーダーには、映写準備を支援するカウントダウンが表示されます。代表的なものとして、アカデミーリーダーとSMPTEユニバーサルリーダーがあります。

アカデミーリーダー

1930年に映画芸術科学アカデミー（AMPAS）が発表した規格です。1フィートごとに12から3までカウントダウンする数字が、本編映像とは上下逆さまに表示されます。「9」と「6」は、逆さまにしても判別しやすいよう「NINE」「SIX」と表記されています。「3」の表示時にビープ音が鳴りますが、劇場公開用プリントではミュートされていることが多いです。

SMPTEユニバーサルリーダー

1960年代半ばに、映画テレビ技術者協会（SMPTE）が発表した規格です。白い同心円と回転する「時計の腕」のアニメーションの中に数字が表示され、8から2まで1秒ごとにカウントダウンします。アカデミーリーダーと異なり、数字は正しい向きで表示されます。「2」の表示時にビープ音が鳴ります。2000年以降は「テレビジョンリーダー」と名称変更されました。

両リーダー共通点

アカデミーリーダーとSMPTEユニバーサルリーダーは、どちらも全長は同じで、35ミリフィルムの場合は16フィートと4フレーム（計260フレーム）です。カウントダウン部の長さは9フィートと1フレーム（計145フレーム）で、その後、何も表示されないフレームが47フレーム続きます。

デジタルシネマ時代のカウントダウン

2013年には、デジタルシネマ用リーダーであるD-Cinema Digital Leaderが発表されました。デジタルシネマファイルは連続しているため、フィルム切り替え用のキューマークの規定はありません。

過去の規格：ソサエティーリーダー

SMPTEがユニバーサルリーダー規格を定める以前は、ソサエティーリーダーが使用されていました。これはアカデミーリーダーをベースに、テレビでの使用を考慮して改変されたものです。

まとめ

フィルムリーダーは、映画上映において不可欠な存在です。その種類や規格は時代と共に進化しており、デジタルシネマへの移行に伴い、新たな規格も登場しています。これらの規格は、映写技師が正確にフィルムを扱えるようにするための重要な役割を担っています。本稿では、フィルムリーダーの種類、カウントダウン表示の仕組み、歴史的な変遷について解説しました。

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