フィルモア・イースト

フィルモア・イーストの歴史

フィルモア・イースト (Fillmore East) は、1968年から1971年まで、ニューヨーク市マンハッタン区イースト・ヴィレッジに位置していた伝説的なロックコンサート会場です。この場所は、ビル・グラハム (Bill Graham) によって管理され、数々の名バンドが出演しました。グラハムはサンフランシスコのフィルモア・オーディトリアムのオーナーでもあり、フィルモア・イーストはその東海岸の拠点となりました。

会場の経歴

フィルモア・イーストが存在する前、この場所は1926年にイディッシュ語の演劇が行われていた「コモドア劇場」でした。後に映画館へと改装され、「ローズ・コモドア」と名付けられ、その後「ヴィレッジ劇場」としてロックイベントが開催されるようになりました。グラハムが取得した際、会場はかなりの修復が必要だったものの、収容人数は約2,700人を誇りました。

フィルモア・イーストの誕生

1968年3月8日に正式オープンしたフィルモア・イーストは、瞬く間に「ロックンロールの教会」と呼ばれるようになりました。毎週、多くのアーティストが出演し、金曜日と土曜日には1晩に2回公演が行われることもありました。グラハムは東西のフィルモアで出演者を互いに入れ替えることにより、多様な音楽体験を提供しました。

代表的なアーティスト

この会場で活躍したアーティストには、ジミ・ヘンドリックスやオールマン・ブラザーズ・バンド、ザ・フーなど数多くの伝説的存在が含まれます。特に、ジミ・ヘンドリックスのアルバム『Band of Gypsys』は、ここでのライブ録音として有名です。1971年のジョン・レノンの出演も話題となり、フランク・ザッパのバンドとの共演が印象的でした。

ライブアルバムの録音に最適

フィルモア・イーストは、優れた音響設備を持っていたため、多くのライブアルバムがここで録音されました。有名な例として、オールマン・ブラザーズ・バンドの『At Fillmore East』や、デレク・アンド・ザ・ドミノスの『In Concert』が挙げられます。

閉場とその後

フィルモア・イーストは1971年に閉場しました。最後のコンサートではオールマン・ブラザーズ・バンドなどが登場し、特別な夜を盛り上げました。その後、数度の運営形態の変化を経て、1980年にはナイトクラブ「ザ・セイント」として営業されました。2097年以来、かつての会場は集合住宅に改装されています。

現代におけるフィルモア・ブランド

フィルモアの名称は、2007年に「ザ・フィルモア・ニューヨーク・アット・アーヴィング・プラザ」として復活しましたが、定着しないまま再び元の名称に戻されました。フィルモア・イーストは、今なお音楽史における重要な舞台として語り継がれています。

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