フィル・アンセルモ

フィル・アンセルモ：ヘヴィメタル界の異端児

フィル・アンセルモ（Phil Anselmo）は、1968年6月30日、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのヘヴィメタルミュージシャンです。パンテラの元ボーカリストとして、その名を ప్రపంచに轟かせました。現在は、DOWNというバンドで活動しています。

生い立ちとパンテラ加入

アンセルモは、静かで従順な少年時代を過ごしたとされています。しかし、バーを経営する父親から虐待とも言える育てられ方を受け、その経験が後の作詞や薬物依存に影響を与えたと語っています。少年時代から複数のバンドで活動し、その才能は高く評価されていました。

1987年、パンテラはよりヘヴィで攻撃的なサウンドを追求するため、ボーカリストを交代。アンセルモが加入し、バンドは飛躍的な成長を遂げます。彼の加入後、パンテラはメタルシーンを席巻する存在となりました。

ヘロイン中毒とバンドの崩壊

しかし、バンドの全盛期だった1990年代中頃、アンセルモはヘロインの過剰摂取で心停止状態に陥ります。奇跡的に一命を取り留めたものの、この事件がきっかけでバンド内の人間関係が悪化。メンバー間の溝は深まっていきました。

2000年には、関係が良好とは言えない状態でアルバム「REINVENTING THE STEEL」をリリース。その後、アンセルモは自身のサイドプロジェクトであるスーパージョイント・リチュアルやDOWNに時間を費やすようになり、パンテラのメンバーとの関係は修復不可能な状態に陥りました。特に、ダイムバッグ・ダレルとヴィニー・ポールの兄弟との確執は深刻で、バンドは解散という結末を迎えます。

ダイムバッグ・ダレルの死と人種差別発言

パンテラ解散後、アンセルモとダイムバッグ・ダレルの確執は激化。2004年にダレルが銃撃され死亡した際、アンセルモは葬儀への参加を拒否され、マスメディアから非難を浴びました。彼は後に声明を発表し、ダレルとの和解が叶わなかったことを悔やみ、彼が親友であり兄弟のような存在だったと語っています。

2016年には、ダイムバッグ・ダレルの追悼コンサートで、アンセルモがステージ上でナチス式敬礼と人種差別的な発言を行ったことが大きな批判を呼びました。当初はジョークだと主張していましたが、批判が収まらず、最終的に謝罪する事態となりました。この事件は、彼のキャリアに大きな影を落としました。

音楽性とプレイスタイル

アンセルモは、シャウトやハイトーンを駆使した咆哮系のボーカルスタイルに加え、バラードも歌いこなす高い歌唱力を持っています。パンテラ時代は、バンドの重いグルーヴ感をさらに増幅させるヘヴィな歌声で、メタルシーンに衝撃を与えました。彼の音楽性は、後のラウドロックアーティストに多大な影響を与えています。

ソロ活動

2013年には、ソロ・アルバム「Walk Through Exits Only」をリリースし、新たな音楽性を追求しています。

フィル・アンセルモは、その才能と破天荒な言動で、常に注目を集める人物です。彼の音楽は、これからも多くのファンを魅了し続けるでしょう。

外部リンク

Phil Anselmo's official webpage
Phil Anselmo's official MySpace page

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