フィル・コリンズ 2:心の扉

1982年に発表されたフィル・コリンズのセカンド・ソロ・アルバム『Hello, I Must Be Going!』（邦題：心の扉）は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品です。前作『夜の囁き』で確立した音楽性をさらに深化させ、よりパーソナルなテーマや実験的なサウンドを取り入れています。

このアルバムは、コリンズ自身の内面を深く掘り下げた歌詞と、多様な音楽スタイルが特徴です。収録曲には、失恋や孤独、社会への疑問など、人間の感情や経験を率直に表現したものが多く、聴く人の心に深く響きます。特に、「I Don't Care Anymore」は、怒りと諦めが入り混じった感情を力強く歌い上げ、グラミー賞の最優秀男性ロック歌手にノミネートされるなど、高い評価を受けました。

アルバムにはスプリームスのカバー曲「恋はあせらず」も収録されており、原曲のイメージを尊重しながらも、コリンズ独自のアレンジが加えられています。この曲はアルバムからのシングルとしてリリースされ、世界中で大ヒットを記録し、コリンズのポップ・アイコンとしての地位を確立しました。

『心の扉』は、コリンズの音楽的な冒険心と、内省的な作風が融合した作品と言えるでしょう。2016年には、ジャケット写真がアップデートされ、リマスターが施されたデラックス・エディションが発売され、新たなファンを獲得しています。

収録曲は以下の通りです。

1. 空虚な心 - "I Don't Care Anymore"
2. アイ・キャント・ビリーブ - "I Cannot Believe It's True"
3. チャイナ - "Like China"
4. 心の扉 - "Do You Know, Do You Care?"
5. 恋はあせらず - "You Can't Hurry Love"
6. 心配御無用 - "It Don't Matter to Me"
7. この壁の向こうに - "Thru These Walls"
8. 君への願い - "Don't Let Him Steal Your Heart Away"
9. ウエスト・サイド - "The West Side"
10. 朝がくるまで… - "Why Can't It Wait Till Morning"

『心の扉』は、フィル・コリンズの音楽的な才能と、人間性豊かな内面を垣間見ることができる、重要な作品です。彼のファンはもちろん、音楽好きにとっても聴き応えのある一枚と言えるでしょう。

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