フィル・コリンズ・ビッグバンド

フィル・コリンズ・ビッグバンド

フィル・コリンズ・ビッグバンドは、イングランド出身のロックドラマー兼歌手フィル・コリンズが1996年から1998年にかけて行った音楽プロジェクトです。このバンドは、コリンズがモデルとしたアメリカのビッグバンドに影響を受け、特にドラマーのバディ・リッチに感銘を受けていました。コリンズは、ポップのソロアーティスト、バンド「ジェネシス」の一員として知られていますが、このビッグバンドでは新たな音楽的な挑戦を行いました。

音楽スタイルとパフォーマンス

このプロジェクトでは、コリンズ自身やジェネシスのヒット曲をビッグバンドスタイルに編曲して演奏しました。代表的な楽曲には、「ススーディオ」や「インビジブル・タッチ」があります。また、ジャズのスタンダード曲も演奏し、「Chips & Salsa」や「バードランド」、さらには「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」といった楽曲がレパートリーに含まれています。

フィル・コリンズ・ビッグバンドは、主にインストゥルメンタル演奏を行い、コリンズはドラム演奏に専念していました。このスタイルは、豪華なホーンセクションとリズムセクションが一体となって、独特のサウンドを生み出しました。

解散と再編成

1999年、コリンズは映画『ターザン』の音楽制作に取り組むため、フィル・コリンズ・ビッグバンドを解散しました。しかし、2004年には、モントルー・ジャズ・フェスティバルに再び出演し、当時のボーカリストであるトニー・ベネットを迎え、「ゼアル・ビー・サム・チェンジズ・メイド」をカバーしました。このパフォーマンスの録音は、2018年にリリースされたコリンズのボックスセット『Plays Well with Others』に収録されています。

遺産と評価

フィル・コリンズ・ビッグバンドは、1998年に録音したアルバム『A Hot Night in Paris』をはじめとする重要な音源を残しました。また、1996年に行ったモントルー・ジャズ・フェスティバルでのパフォーマンスは、2010年のDVD『Phil Collins Live at Montreux』に特典映像として収録されています。このプロジェクトにより、コリンズは2000年に雑誌『Modern Drummer』の読者投票で「ビッグバンド・ドラマー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるなど、音楽界でも高く評価されました。

メンバー構成

フィル・コリンズ・ビッグバンドのメンバーは多岐にわたり、リズム・セクションではコリンズがドラムを担当し、キーボードにはブラッド・コール、ギターにはダリル・スチューマー、ダブルベースはダグラス・リチェソン、パーカッションにはルイス・コンテが参加していました。

一方、ホーンセクションにはハリー・キムを音楽監督とするトランペット奏者たちが揃い、トロンボーンやサクソフォンの演奏者も多く在籍していました。これらのメンバーによって、ビッグバンドの魅力が一層引き出されることとなりました。

フィル・コリンズ・ビッグバンドは、音楽のジャンルを超えた魅力的なプロジェクトであり、今なお多くのファンに愛され続けています。

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