フィル・ミラー

フィル・ミラー：カンタベリー・ロックを彩ったギタリスト

フィル・ミラー（Phil Miller, 1949年1月22日 - 2017年10月18日）は、イギリス出身のギタリストであり、プログレッシブ・ロックとジャズの分野で独自の地位を確立しました。特にカンタベリー・ロック・シーンにおける彼の貢献は大きく、その代表的なミュージシャンの一人として広く認知されています。

生い立ちと初期の活動

ミラーは、ハートフォードシャー州バーネットで生まれました。初期の活動では、デリヴァリーというバンドに参加し、1970年にはアルバム『フールズ・ミーティング』をリリースしています。その後、キャラヴァンの『ウォータールー・リリー』(1972年)にも参加し、その才能を徐々に開花させていきました。

カンタベリー・ロック・シーンでの活躍

ミラーの名を広く知らしめたのは、マッチング・モウルへの参加でした。1972年にリリースされた『そっくりモグラ』、『そっくりモグラの毛語録』は、彼の革新的なギタープレイが堪能できる作品として、カンタベリー・ロック・ファンから高い評価を受けています。また、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースでは、1974年の『ハットフィールド&ザ・ノース』、1975年の『ザ・ロッターズ・クラブ』といった名盤をリリースし、バンドの音楽的中心人物として活躍しました。

その後も、ナショナル・ヘルス、ショート・ウェーヴといったバンドに参加し、その才能を発揮し続けました。ナショナル・ヘルスでは、『ナショナル・ヘルス』(1978年)、『オブ・キューズ・アンド・キュアーズ』(1978年)、『D.S.アル・コーダ』(1982年)などのアルバムに参加しています。

ソロ活動とイン・カフーツ

バンド活動と並行して、ミラーはソロ・プロジェクトや、自らが率いるバンド、イン・カフーツでも活動を展開しました。イン・カフーツは、1982年にリチャード・シンクレア、エルトン・ディーン、ピーター・レマー、ピップ・パイルによって結成され、コンテンポラリーなジャズ・ロックを展開しました。イン・カフーツ名義では、『カッティング・ボース・ウェイズ』(1987年)をはじめ、数多くのアルバムをリリースし、ライブ活動も精力的に行いました。

ハットフィールド・アンド・ザ・ノース再結成

2005年から2006年にかけては、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースが再結成され、ミラーもツアーに参加しました。往年のファンを喜ばせ、新たなファンを獲得するなど、大きな話題となりました。

ディスコグラフィー（一部）

デリヴァリー: 『フールズ・ミーティング』 (1970年)
キャラヴァン: 『ウォータールー・リリー』 (1972年)
マッチング・モウル: 『そっくりモグラ』 (1972年)
ハットフィールド・アンド・ザ・ノース: 『ハットフィールド&ザ・ノース』 (1974年)
ナショナル・ヘルス: 『ナショナル・ヘルス』 (1978年)
フィル・ミラー＝イン・カフーツ: 『カッティング・ボース・ウェイズ』 (1987年)
フィル・ミラー: 『スプリット・セカンズ』 (1988年)
フィル・ミラー／イン・カフーツ: 『アウト・オブ・ザ・ブルー』 (2001年)

晩年と遺産

フィル・ミラーは、2017年10月18日に亡くなりましたが、彼の音楽は今もなお多くのファンに愛され続けています。カンタベリー・ロック・シーンにおける彼の功績は大きく、その革新的なギタープレイと音楽性は、後進のミュージシャンたちに多大な影響を与えています。彼の作品は、時代を超えて輝きを放ち、カンタベリー・ロックの重要な遺産として、永遠に語り継がれるでしょう。

外部リンク

Phil Miller THE LEGACY（公式サイト）
Biography at Calyx, the Canterbury website
* Interview with Phil Miller at allaboutjazz.com

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