フィル・X

フィル・X：ボン・ジョヴィを支える名ギタリスト

フィル・X（Phil X）は、1966年3月10日生まれ、カナダ・オンタリオ州出身のギリシャ系カナダ人のミュージシャン、ソングライターです。ハードロック、ヘヴィメタルを中心に、幅広いジャンルでその才能を発揮し、多くの著名なアーティストと共演してきました。

生い立ちと初期の活動

フィル・Xは、オンタリオ州トロントで生まれ、ミシサガで育ちました。5歳からギターを始め、1982年には自身の名字を逆綴りしたSidinexというハードロック・ヘヴィメタルバンドを結成し、1985年にはEP盤『Forever Young』をリリースしました。その後、バンドはFlip Cityと名前を変えますが、間もなく解散しています。

1990年、フィルはアルド・ノヴァとの出会いをきっかけに、ランディ・コーヴェンのツアーに参加する機会を得ます。翌年にはアルド・ノヴァのアメリカ・ツアーにも参加し、着実にキャリアを積み重ねていきました。1992年から1993年には、カナダのロックバンド、トライアンフに加入し、アルバム『エッジ・オブ・エクセス』のレコーディングとツアーに参加しました。

1994年には、オンタリオ州ミシサガでThe Bushdoctorsというバンドで短期間活動し、セルフタイトルのデビュー・アルバムを1枚レコーディングしています。

ボン・ジョヴィへの加入

フィル・Xの名を世界に知らしめたのは、2011年からのボン・ジョヴィへの参加でした。当時、リードギタリストのリッチー・サンボラがアルコール依存症のリハビリに入るため、フィルは代役として4月30日のニューオーリンズ公演から5月22日のセントルイス公演までの計13公演に参加しました。

2013年、ビコーズ・ウィ・キャン・ツアー中にリッチーが「個人的な理由」でツアーを離脱。急遽、フィルが4月3日のエドモントン公演から代役としてツアーに参加し、北米、南アフリカ、ヨーロッパ、中南米、日本、オーストラリアなど、計82公演でギタリストを務めました。

フィルは、リッチーの代役としてバンドに参加したことについて、「（リッチーが）抜けた穴を埋めるというより、バンドを助ける思いだった」と語っています。その言葉通り、フィルは卓越したギターテクニックとエネルギッシュなパフォーマンスで、ボン・ジョヴィのサウンドを力強く支えました。

2016年、フィルはアルバム『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』に参加し、長年サポートメンバーであったベーシストのヒュー・マクドナルドと共に、正式にボン・ジョヴィのメンバーとなりました。これは、フィルにとって大きな転機となり、彼はボン・ジョヴィのリードギタリストとして、その才能を存分に発揮することになります。

多彩な才能

ボン・ジョヴィでの活動以外にも、フィル・Xは数多くのアーティストのアルバムに参加しています。アリス・クーパー、ロブ・ゾンビ、アヴリル・ラヴィーン、ケリー・クラークソンなど、ジャンルを超えた幅広いアーティストの作品で、そのギターサウンドを聴くことができます。

フィル・Xは、卓越したギターテクニックはもちろんのこと、ソングライティングの才能も持ち合わせています。自身のバンド、フィル・X・アンド・ザ・ドリルズでは、ロックンロールを基調としたオリジナル楽曲をリリースし、精力的にライブ活動も行っています。

私生活

フィル・Xは、1994年に最初の妻ニネット・セニディスと結婚しましたが、2010年に離婚しています。2013年にはリンディ・グリーンと再婚し、一男一女をもうけています。

ディスコグラフィー

トライアンフ
『エッジ・オブ・エクセス』 - Edge of Excess (1992年)
パウダー
Sonic Machine (2002年)
Powder (2005年)
Nothing (2008年)
フィル・X・アンド・ザ・ドリルズ
Kick Your Ass in 17 Minutes. (2009年)
We Bring the Rock N Roll (2011年)
We Play Instruments N Sh!t (2012年)
Stupid Good Lookings Vol.1 (2019年)
ボン・ジョヴィ
『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』 - This House Is Not for Sale (2016年)
『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール (ライヴ・フロム・ザ・ロンドン・パラディウム)』 - This House Is Not for Sale – Live from the London Palladium (2016年)
* 『2020』 - 2020 (2020年)

まとめ

フィル・Xは、その卓越したギターテクニックと音楽センスで、ボン・ジョヴィをはじめとする多くのアーティストを支えてきた、現代を代表するギタリストの一人です。今後、彼がどのような音楽を届けてくれるのか、期待が高まります。

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