フィーバー (パチンコ)

パチンコ史に残る革新システム「フィーバー」：その誕生から社会への影響まで

1980年代初頭、日本のパチンコ業界に革命を起こしたシステムが「フィーバー」です。三共株式会社（現・SANKYO）が開発したこのシステムは、従来のパチンコ機とは全く異なるゲーム性で、瞬く間に一大ブームを巻き起こしました。本稿では、「フィーバー」の誕生から社会への影響、そして現代に残る足跡までを詳細に解説します。

誕生の背景：スペースインベーダーブームと前機種の失敗

1980年、テレビゲーム「スペースインベーダー」の爆発的ヒットは、パチンコ業界に大きな打撃を与えました。その中で誕生したのが「フィーバー」です。その前身となる「ブレンド赤坂」は、ドラムの回転とストップボタンによる組み合わせで入賞口を開閉するシステムでしたが、攻略法が発見され、市場から姿を消しました。しかし、この「ブレンド赤坂」のドラムユニットは在庫として残っており、これが「フィーバー」開発の端緒となりました。

三共の営業担当者は、顧客からの「故障で入賞口が開きっぱなしになるのが面白かった」という声に着目しました。この意見をヒントに、故障時を模した、大量出玉を特徴とするシステムが考案されました。釘の配置や入賞口の大きさ、そしてラスベガスのスロットマシンを参考にした回転ドラムの採用など、様々な工夫が凝らされました。開発されたパチンコ台は、「熱狂」を意味する「フィーバー」と名付けられ、「三共フィーバー」として世に送り出されました。

システムとゲーム性：デジタル表示とリーチ目攻略

「フィーバー」の最大の特徴は、ドラムの回転と図柄の組み合わせによる大当たり判定です。初期の「フィーバー」では、ステッピングモーターではなくカム機構を採用しており、大当たり判定はドラム停止後の光学式センサーによるものでした。このシンプルながらも斬新なシステムは、デジタル表示方式のデジパチの起源となり、後に主流となるデジパチの原型となりました。また、このシステムは、出目の移行パターンから大当たりを予測する「リーチ目攻略法」を生み出し、多くのパチンコ愛好家を魅了しました。

社会現象と規制：爆発的人気と社会問題

1980年12月、新潟県長岡市のホールで123台もの「フィーバー」が導入されると、客が殺到するほどの盛況ぶりとなりました。この成功をきっかけに「フィーバー」は瞬く間に全国に広がり、パチンコ業界の主流システムへと進化していきました。しかし、その人気は裏腹に、大当たりによる興奮から健康被害が発生したり、射幸性の高さから借金や犯罪に走る者も現れました。このため、1981年には警察庁が規制通達を出し、業界団体も自主規制に乗り出しました。

規制と進化：ブームの終焉と現代への継承

1984年、カウント数の上限などが盛り込まれた規制が施行され、「フィーバー」ブームは終焉を迎えます。しかし、「フィーバー」システムはその後も進化を続け、法規制や自主規制を乗り越えながら、現代まで生き残りました。2004年には「CRフィーバー大ヤマト2」が新基準機として発売されるなど、その人気は衰えることを知りません。

まとめ：「フィーバー」の功罪とパチンコ業界への影響

「フィーバー」は、パチンコ業界に革命をもたらしただけでなく、社会問題も引き起こしました。その功罪は複雑に絡み合っていますが、「フィーバー」がデジパチの原型となり、現代のパチンコ業界に大きな影響を与えたことは間違いありません。本稿が、「フィーバー」というシステムの理解を深める一助となれば幸いです。

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