フィービー・ブリジャーズ

フィービー・ブリジャーズ

1994年8月17日にアメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナで生まれたフィービー・ブリジャーズは、現在、インディー・ポップシーンにおいて最も影響力のあるシンガーソングライターの一人として数えられています。その感情豊かで詩的な歌詞、そして繊細かつ力強いメロディは、多くの批評家やリスナーを魅了し続けています。

彼女の音楽キャリアは、ティーンエイジャーの頃から始まりました。初期には、Einstein's Dirty Secretというバンドでギターとリードヴォーカルを担当し、その後Sloppy Janeではベーシストとして活動するなど、様々な形態で音楽の経験を積みました。こうした活動を経て、彼女独自の音楽スタイルが培われていきます。

2017年6月、彼女はインディーレーベルのデッド・オーシャンズと契約を交わし、同年9月22日に満を持してデビューアルバム『Stranger in the Alps』をリリースしました。この作品は、その内省的なテーマと洗練されたサウンドプロダクションで、リリース直後から批評家たちの間で大きな話題を呼び、一躍彼女の名をインディーミュージック界に知らしめることとなりました。

自身のソロ活動と並行して、フィービー・ブリジャーズは他の注目すべきアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。特に、2018年には同じく高い評価を得ているシンガーソングライター、ジュリアン・ベイカーとルーシー・ダカスと共にスーパーグループboygeniusを結成しました。同年10月26日に発表された彼らのセルフタイトルのEP『boygenius』は、3人の個性が光る見事なハーモニーと楽曲で、大きな反響を呼びました。

2020年6月18日には、セカンドアルバムとなる『Punisher』をリリース。この作品もまた、デビュー作に続いて批評家から絶賛されました。個人的な喪失や社会への眼差しを織り交ぜた楽曲群は、リスナーに深く共感され、商業的にも成功を収めました。このアルバムの成功により、彼女は第63回グラミー賞において最優秀新人賞を含む複数の部門でノミネートされ、その才能が広く認められることとなります。

音楽活動以外でも、フィービー・ブリジャーズは自身の信念や個人的な経験をオープンに語ることで知られています。彼女は自身がバイセクシャルであることを公にしており、性的少数者の権利に対する支持を表明しています。また、過去の人間関係についても赤裸々に語っており、2014年頃に交際していたライアン・アダムスに対し、他の女性たちと共に2019年のニューヨーク・タイムズの記事中で性的不正行為を告発したことは大きなニュースとなりました。2021年からは俳優のポール・メスカルとの交際が報じられましたが、2023年2月のインタビューで破局を認めています。

さらに、社会的な問題に対しても積極的に発言しています。2022年5月、アメリカ最高裁判所が中絶の権利を保障したロー対ウェイド判決を覆す可能性が浮上した際、フィービー・ブリジャーズは自身の過去の中絶経験を公表し、中絶の権利が誰もが容易にアクセスできるべき医療ケアであることを強く訴えました。彼女の正直な告白は、社会的な議論を巻き起こし、多くの共感を呼びました。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

Stranger in the Alps (2017年)
Punisher (2020年)

フィービー・ブリジャーズは、その卓越したソングライティング能力と、等身大の言葉で語りかけるような歌声で、現代のインディーミュージックシーンにおいて確固たる地位を築いています。彼女の今後の活動からも目が離せません。

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